のぼりべつクマ牧場通信 65号(2022年11月)

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厳しい冬に向けて、準備中!!

3才とは思えない貫禄と体格でアピールをするラン(♀) =10月16日

最近、のぼりべつクマ牧場のクマたちが冬に向けてどんどん体が大きくなっていくのを見て、秋を感じています。まさに今、ヒグマたちは食欲が上がってくる時期です。
のぼりべつクマ牧場では餌としてトウモロコシ、ビートパルプ、大豆などをふやかし、ドッグフードやドングリなどのカロリーの高い物を混ぜて与え、冬までに体に脂肪を蓄えてもらっています。

ヒグマが食べているものといえば、皆さん思い浮かぶのは鮭だと思います。鮭はヒグマにとって冬眠前の栄養を蓄えたい時期に、とても魅力的なカロリーの高い食べ物です。ですが、野生のヒグマの栄養となっている食べ物の大部分は、ドングリや野草・山菜(フキなど)といった植物質のものが多いといわれています。もちろん鮭も食べていますが、環境の変化などもあり、道内の野生のヒグマ全体では5%ほどしか鮭を食べられていないようです。最近の野生のヒグマがあまり鮭を食べていないとは、意外ですね。

今の時期には冬眠に備え、ドングリなどを求めてヒグマたちは森の中を歩き回っていると思われますので、食欲が上がったヒグマたちに遭遇しないように、山や川に行く際は十分注意してください。

エブリデイエンリッチメント!

野生のヒグマには、季節に応じて行動が変化する生活サイクルがあります。のぼりべつクマ牧場のヒグマも野生と同様に5月上旬~7月中旬の繁殖期は、威嚇・攻撃行動が増え、異性の匂いに対して敏感に反応します。その為、糞や体毛などを用いた匂いエンリッチメントを中心に行っています。

冬眠に向けて食欲が上がり、脂肪を蓄える10月頃からは、ジャムやリンゴジュース、ドングリなどを使用した採食行動を誘発するエンリッチメントを中心に行っています。このように季節によって、より良い暮らしを実現できるように毎日の行動観察を記録し、一か月ごとに目標を決めてエンリッチメントカレンダーを作成し、エンリッチメントを実施しています。

実際に利用しているエンリッチメントカレンダー

どんぐり割始めました

11月になり、秋もより一層深まってきました。秋といえば「どんぐり!栗!」ということで、現在クマ牧場では『どんぐり割』を実施しています。
クマ牧場にご来場の際、身近な公園などで拾われたどんぐりや栗をお持ちいただくと、グラム数に応じて入場料を最大300円割引させていただいております。
お客様からたくさん頂くどんぐりや栗は、毎日与えている餌に混ぜてクマに与えています。どんぐりは100グラムで約400キロカロリーもあるといわれているので、冬に備えて脂肪を蓄えるには大変効果的な餌となっています。
どんぐりや栗は殻もついていますので、一粒一粒殻を出して食べることで採食時間も増え、エンリッチメントにも最適です。どんぐり割は11月30日までとなっております。お客様からの沢山のどんぐりお待ちしております!

お客様から頂いた沢山のどんぐりとそれを食べるロッキー=10月24日

アヒルレース場 リニューアル!

この度アヒルレース場のマットと防鳥ネットが新しくなりました!
人工芝にも様々な硬さがあり、素材が全然違うのですが、その中でもアヒルに最適ではないだろうか!というものを見つけました。  
飼育下のアヒルは運動量が少ないため、足の裏に瘤ができる「趾瘤(しりゅう)症」になりやすく、足のケアとして床材はとても重要になります。色々と試すと、お風呂マットはクッション性があり、アヒルの足に良いことが分かりました。しかし、レース場にお風呂マットは少し違和感があるため、お風呂マットの上に軟らかい人工芝を被せると、アヒルもそこでお昼寝をしてくれるほど気に入ってくれました!

新しくなった人工芝の上でお昼寝するアヒル=10月25日

また、なぜ防鳥ネットをつけているの?と思われた方も多いと思います。理由は、高病原性鳥インフルエンザの対策として、野鳥や野生動物の侵入を予防するために設置しています。

教えて!!Q&A

Q なぜクマはネギが嫌いなの? 匿名希望 様

A 何でも食べそうな印象のクマですが、玉ネギなどのネギ類は食べないと言われています。なぜ食べないのか詳細は未だはっきり分かっていないのですが、クマは嗅覚がとても良いのでネギ類のツンとした匂いが苦手なのかもしれません。
のぼりべつクマ牧場では「クマの腕試し」というイベントで、ネギ類を使ってクマの反応も試していますので、来園された際はご覧になってみてください。

どんぐりは食べて殻だけだがネギには見向きもしないショースケ=10月25日

今月の一くま