のぼりべつクマ牧場通信 60号(2022年6月)

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ついに子グマの名前が決定!!


素敵な名前が付きました!!

4月29日から5月8日までの期間限定で、来園者の方々から子グマ4頭の名前を募集しました。GW期間の短い間でしたが、沢山ご応募いただきました。ありがとうございます。皆様にご応募いただいた中から、飼育員により厳正に選考させていただきました。

体は大きいが小心者なオスの子グマは「アレン」です。母アナと父レンの名前をもらい、活発で利発に育つようにと付けられました。ブルトン語(ケルト語のひとつ)でハンサムという意味もあります。
アレンと双子で、皆のお姉さん的存在の子グマは「レナ」です。アレンと同じく両親から一文字ずつもらい、可愛い名前になりました。

好奇心が溢れている小さなオスの子グマは「イコロ」です。アイヌ語で「宝物」という意味があり、すくすく元気に、皆の希望や宝物の様な存在に育って欲しいという想いが込められています。
いつも皆の後ろに隠れる、イコロと双子のメスの子グマは「ノンノ」です。アイヌ語で「花」の意味を持ち、花のように凛として可愛らしく育って欲しいという想いが込められています。
是非子グマ牧場で、1頭1頭の名前で呼んであげてください。

子グマたち4頭は、子グマ牧場での展示を開始してから1ヶ月以上が経ちますが、初めの頃よりも更に仲良くなり、4頭すくすく元気に育っています。最近では木登りも上達し、スイスイと簡単に登っています。これから、子グマたちがそれぞれどのように成長してくれるのかとても楽しみです。

きょうのくまさん

アユミ(30)

テディベアの様なぽわぽわの大きなお耳がチャームポイントのクマさんです。見た目はポヤ~ンっとしていて、優しい穏やかな表情をしていますが、性格は意外としっかり者さんです。第二牧場は引退していますが、現役時代はスクッと二足で立ち上がりおやつをアピールする姿がお客様からも人気でした。現在は同年代のクマたちと賑やかに生活しています。

ピリカ成長の日々

4月20日、ピリカと年齢の近いお姉さんたちとの合流が始まりました。そこから、飼育員がクマ同士の相性を判断しながら、ゆっくり時間をかけて1頭ずつ慣れていって貰いました!
合流のスタートは、エースがツクシ達の群れ5頭と合流した時と同様に、一番優しいお姉さんのツクシとのお見合いから始めました。初めて柵越しに会った時から、お互いに鼻をくっつけたり、頬をひっぱりあったりしていたので、同居してからも、ピリカからツクシに近づいて構ってほしそうな様子も見られ、2頭で仲良く遊んでいました。その次に合流したのはカリンです。カリンとは性格が合わなかったのか、距離が少しあり、遊ぶほど仲良くはなりませんでした。

その後エース、ラン、ミズキ、ハルの順番で合流させました。最終的に、カリンは、群れの中でまだ優劣が分からないピリカに対し叱って教えているような様子です。
合流試行の最中は、エンリッチメント器具である「サークルファイヤー」を使って遊んでいるうちに同居に慣れてもらいます。時間はかかるかもしれませんが、飼育員みんなで工夫しながら、これからも安全に合流を進めていきたいと思います。

消防ホースを利用したサークルファイヤーで遊ぶ様子=5月16日撮影

ウンチを使ったエンリッチメント

「糞」と聞くと、「臭~い」、「汚~い」などのイメージをお持ちになると思いますが、糞を使ったエンリッチメントについてお話しします。

広大な森のなかで生活するヒグマにとっては五感の中でも「匂いを嗅ぐ」というのはかなり重要な情報になります。特に野生では繁殖期の時期になると匂いを元に異性を求めて歩き回ります。
そこで、飼育下のヒグマにも類似の体験をしてもらうために、1週間ごとに毎日違う異性の糞を入れてみて、どんな行動をとるのかを観察してみました。結果としては、メスの糞に対して複数頭のオスは糞を舌先で触れるように舐める行動をとりました。初めは嗅ぐというよりは舐めるような動きに驚きましたが、それには「フェロモン」が大きく関わっていると推測しています。

フェロモンとは、ミツバチなど主に昆虫類で見られるもので、生物が体外に分泌し、同種の個体間で作用する科学物質のことを指し、コミュニケーションをとるための物質であると考えられています。フェロモンを感じ取る器官はヒグマの場合、口腔内の上部に位置しているため、鼻で匂いを嗅ぐというよりも、舌で舐める方が情報を正確に読み取ることができるのかもしれません。フェロモン自体は、排便時に肛門付近から分泌され、それが糞に付着しているのだと推測しています。糞を舌で舐めるような行動をとったオスではよだれが分泌され、匂いコミュニケーションの一環と考えられている「背こすり行動」が誘発されました。

これらのことをふまえ、繁殖期のオスに対してメスの糞は刺激的なエンリッチメントになりました。今後繁殖期以外の時期にも試行し、反応の違いを見比べていきたいと思います。

メスの糞の匂いを嗅ぐクッタ(♂)=5月22日撮影

今月の一くま