のぼりべつクマ牧場通信 50号(2021年8月)

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2021クマ牧場の頂点決定!

9年連続でボスとなった「ダイキチ」=7月24日

9年連続となる制圧、天下無双のボス誕生か

のぼりべつクマ牧場では、繁殖期である5月から7月までの期間に、オスグマが放飼される第一牧場の中で最も優位に立ったクマを「ボス」と呼んでいます。今年のボスは昨年に引き続き「ダイキチ」に決定しました。

20代目ボスである「ダイキチ」は今年でボス就任9年連続となり、16代目ボスの「マツ」が持つ歴代最長記録と並びました。初就任となる9年前は争いが絶えなかった第一牧場ですが、最近は目立ったボス争いはなかったものの、「ダイキチ」はマーキング行動の1つである『背こすり』による痕跡が背中にくっきり見えており、背こすり頻度の高さがうかがえました。

ダイキチの背こすりの痕跡=7月19日

また、体格もラガーマンも驚くほどの大きな体を維持しています。歩くだけでボスとしての『圧』を感じます。こういった要素が不動の連続ボス就任に繋がっているのではないでしょうか。
ライバルの「マンタロウ」も、威嚇はするものの攻めの姿勢は少なく、「ダイキチ」に向かっていく素振りはありません。

ライバルのマンタロウ=7月20日

「ダイキチ」の圧倒的な存在感で、牧場内はかつてないほど平穏な時間が流れています。9年目にしてやっとベテランボス感が出てきて、飼育員が望む『平和な牧場の統一』を成し遂げてくれました。

来年も「ダイキチ」がボスの座を死守すれば、「マツ」の記録を抜いて歴代単独1位となります。しかし何が起こるか想像もつかないのがボス争いの醍醐味の一つです。
今後も目が離せませんね。

エースと愉快な仲間たち

1歳年上のお姉様達との同居生活が始まって2ヵ月が経ちました。エースは今、5頭のクマと共に生活しています。6月号でお伝えした、ツクシ・カリンの合流後、ラン・ハル・ミズキとの顔合わせを行い、今では6頭一緒に放飼場へ出ることもできるようになりました。エサをめがけて獣舎内に戻ってくる時、いつも最後に戻ってきますが、年上の圧に少し圧倒されながらも、負けずに餌を食べています。

エースがどんな大人に成長していくのか、今後もとても楽しみです。いつか第二牧場へデビューする日を、楽しみに待っていてください!

5頭と少しずつ距離を縮めるように野草を食べるエース(最右)=7月17日

きょうのくまさん

ツクシ♀(2)

全体的に鮮やかな金毛をしているのが特徴。どのクマに対しても優しく、お姉さん気質な性格で、1才の「エース」と最初に合流した経緯をもつ。同年代のなかでは、唯一おやつアピールをし始めていますが、アピール方法は母「シズク」と似て『お手上げ』スタイル。将来お客様の前で人気者になるのが楽しみです。

教えて!!Q&A

○ペンネーム「ぎんちゃん」さま

Q クマの見分けがつきません!どうしたら見分けがつくようになりますか?

A ズバリ!勘です!というのは嘘です(笑)微妙ですが、クマにも人間と同じで、顔に違いがあります。耳が大きかったり、眼が小さかったり、鼻先が短かったりと、クマそれぞれです。個人的には、第二牧場にいるアユミは他のクマより耳が大きく、それに対してイナホは耳が小さいので、違いが分かりやすいと思います!

イナホ(左)、アユミ(右)=7月18日

このような違いを、我々飼育員は見極めています。クマごとの特徴を瞬時に見分けるには、沢山の観察と練習が必要です。クマの識別の練習がてら、是非またクマ牧場にお越しください!

飼育員は見たべあ ついに50号。

第1号は2017年7月1日に発行されました。トップ記事は、当時0才であった「コテツ」と新冠町で保護された「ダイチ」の名前が決定したニュースでした。

あれから4年。「のぼりべつクマ牧場のことをもっと知ってほしい」という編集長の熱い想いからスタートしたこの新聞も、毎月発行を継続し、ついに50号を迎えることができました。4年間で様々なコーナーが生まれましたが、非展示中のクマを取り上げる「きょうのくまさん」や動物福祉の取り組みを紹介する「エブリデイエンリッチメント」、クマのことを面白おかしく伝える四コマ漫画「のぼクマ劇場」のコーナーは今も健在です。

今後も時代とともに進化していくのぼりべつクマ牧場をどんどん深掘りしてお伝えしていきたいと思います。引き続き、応援よろしくお願いします。

のぼクマ劇場

なる作