のぼりべつクマ牧場通信 17号(2018年11月)

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のぼりべつクマ牧場にいる動物の個体識別講座

「飼育員の方は動物1頭1頭の見分けがつきますか?」という質問を度々受けますが、答えはイエスです。動物たちは人と同じように個性があり見た目も違います。今回はそんな疑問にお答えするべく、動物の個体識別講座を開講します。※個体識別とは、1頭1頭区別することです。
 
~初級編~エゾヒグマ
当園の飼育動物の中で一番見分けやすいのが「エゾヒグマ」です。飼育員はクマの顔で個体を見分けています。エゾヒグマは体が大きいので特徴が見つけやすい動物です。簡単に識別ができるポイントは毛色です。毛色は個体によってさまざまで黒、茶、金、ベージュなどがあります。胸に白斑(白い模様)があれば見分け易いです。でも毛色は季節によって変化するので要注意!次に識別しやすいのが体型や顔のパーツです。体が小さい、大きい、痩せ型、肥満型、足の長さ、顔の形、目、耳、鼻(吻)、口など個体によってさまざまです。クマ牧場のクマならではの見分け方はアピールポーズの違いです。前肢手をあげるクマ、前肢で合掌するクマ、その場で回転するクマ、V字バランスをするクマなどポーズで識別できるクマもいます。難易度は上がりますが、性格も見分ける上でのポイントになります。気が強いクマもいればおとなしいクマもいて、行動にも表れます。
 

双子でも色が異なる=写真左・ニイサ、写真右・ニイヨ


~中級編~アヒル
アヒルは全羽羽色が白いので一目見ただけでは識別が難しいです。一番個体差が出るのはくちばしです。個体によって色が異なったり、模様があったりします。しかし、識別の難しいアヒルには体の特徴以外で識別するポイントが隠されているのです!それは足環です。アヒルの足には個体ごとに色の違うリングが付けてあります。目印をつけることで個体を素早く識別することが可能です。

個体によってくちばしの色が異なる=写真左・色が薄い、写真右・色が濃く、黒い模様がある


~上級編~エゾリス
エゾリスは素早く動き回っているので識別難易度が非常に高いです。小さな違いはありますが個体差がはっきりしているのは腹の白い部分の形です。わかりやすいのは顎の下の形状で、下から覗き込んでみると見えるかもしれません。
 

腹の模様が違う=写真左・サツキ、写真右・サン


 

「わんわんショー」閉幕 5年間ありがとう

2013年から始まった「わんわんショー」が10月31日に幕を下ろしました。「わんわんショー」とは、4頭の犬が玉乗りやダンスなどをお披露目するイベントでした。今年で6歳になる犬たちへの負担を考慮し、ショー終了の運びとなりました。ショーに出演していたのはトイ・プードルの♂「空」、♀「海」、ミニチュア・シュナウザーの♂「陸」、ウエスト・ハイランド・ホワイトテリアの♂「太陽」です。屋内・屋外ステージにて1日2回のショーを披露してくれていました。寂しくなりますがゆっくり休んでください、お疲れ様でした!
 

 

松本獣医のズバッと答えます!

Case2「最近、左目の周りが濡れています」
エゾリスのセイジのお話です。ある秋の日、リスのエンリッチメントに熱心な飼育員から「最近、セイジの右目の周りが濡れています。目脂も多い気がするのですが、日によって違います。」と連絡をもらい、一緒にリス村へ行きました。飼育員にはセイジの好物であるひまわりの種でセイジを静止してもらい確認すると、右目表面の下の方に白濁した部位(赤矢印)があり、その近くに治りかけの傷(青矢印)が確認されました。白濁した部位は「角膜炎」という目の表面の病気で、今回の原因は傷によるものと考えられました。傷はほとんど治っていましたが、傷から細菌が感染し傷の治りが悪くなっていて、さらに感染した細菌の炎症によって白濁している状態と推測されました。
 

セイジの右目=写真左・点眼前、写真右・点眼後


そして、この状態には細菌をやっつける抗生剤の目薬が有効ですので、飼育員に毎日目薬をおこなってもらいました。飼育員とリスはこういう時のために日頃から体重測定などのスキンシップをとっていたので、点眼もストレスなく円滑に行えたようです。目薬を開始すると1週間ほどで目の状態は良くなり、目脂もなくなりました。日頃の飼育員とセイジの信頼関係のおかげでしっかりと目薬ができ、セイジの目もバッチリです。今日も昼頃には餌を持ってせわしなく走り回るセイジの姿をご覧頂けるかもしれません。
 

 

どんぐり割引実施中!

毎年のぼりべつクマ牧場では「どんぐり割引」を実施しています。お持ちいただいたどんぐりの量で入場料がお得になるイベントです。いただいたどんぐりは飼育しているクマやリスの餌になります。栄養価の高いどんぐりは秋の代表的な食糧です。動物たちにたくさんのどんぐりを食べさせてあげたいので、みなさまのご協力を飼育員一同心よりお待ちしています! 開催期間は10月13日~11月30日まで。

 

のぼクマ劇場

 

きょうのくまさん

日向ぼっこをしていたクッタを呼ぶと、遊具の頂上まで登ってきてくれました。名前の由来はクマ牧場から見えるクッタラ湖です。双子のカイと暮らしていますが、クッタの方が食いしん坊で体が大きいです。一人前になって、いつか第一牧場にデビューするぞ~!
 

クッタ♂(4)

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