のぼりべつクマ牧場通信 16号(2018年10月)

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台風21号・北海道胆振東部地震 猛威を振るう

適応力の高さに驚き!災害に動じないクマたち
9月4日・5日、日本列島中が被害に見舞われた台風21号に加え、9月6日には北海道全域に大きな爪跡を残した北海道胆振東部地震と、大災害が続きました。
 
4日の夜から台風21号が北海道に接近してきたため、猛烈な風と雨による被害を受けました。5日は台風の影響により、開園をすることができませんでした。建物の一部が破損、園内や牧場内には掲示物・落ち葉などが散乱しており、1日がかりで撤去しました。クマのいる獣舎の中にもたくさんの落ち葉や木の枝が落ちていましたが、クマたちは遊んだり食べたりしていました。
 

牧場内にはたくさんの落ち葉と喜ぶロッキー=9月5日、第一牧場東

6日午前3時7分に最大震度7の北海道胆振東部地震が発生しました。北海道全域で停電が起き、のぼりべつクマ牧場のロープウェイも稼働不可能となりました。地震の直後、動物課長と係長が徒歩で山頂にある牧場へ向かいました。幸い施設の破損や動物たちへの直接的な被害はありませんでした。
現在は災害前と変わらず営業を行っています。台風にも地震にも動じずに、のびのびと暮らしているたくましいクマたちの姿をご覧ください!
 

営業再開直後のクマたち=9月8日、第二牧場

子グマ 巨大水槽へダイブ!

リンゴ・ナシ ハンティング!
毎年この時期になると横3.6mの巨大水槽を設置します。今年は8月31日に設置を行いました。日中を過ごしている子グマ牧場の真ん中に突如出現した水槽に、子グマたちは少し驚きながらも興味を示していました。最初は水槽の周りをグルグル歩き回ったり、ガラス面を引っかいたりする3頭でした。そのうち、トッキーが水槽の脇にある入口を見つけると、トッキーに続きベクト、ショウヘイと水の中へダイブしていき、楽しそうにじゃれあっていました。餌の時間に水槽内へリンゴやナシを入れると、好物を探しながら食べる姿を見ることができ、観覧している方々からも「動きがあってよい」などの声もいただきました。
 
大人顔負けの食欲で、餌の食べる量も日に日に増加しています。餌は成獣と同じものを食べており、また一歩大人の階段を上った3頭でした。
 

水中で果物を探す子グマ=9月18日、子グマ牧場、ショウヘイ

クマ牧場の秋の空には

これからの時期、空を見上げると稀に「オジロワシ」が飛んでいます。10月末ごろから越冬するためにサハリン、シベリアの方から北海道にやってきます。翼開長は大きいもので250cmにもなり、特徴は名前の由来でもある尾羽が白いところです。見つけられたあなたはラッキーかもしれません!
 

オジロワシ

飼育員は見たべあ!作成秘話

誕生の秘密 作成の裏側に密着!
「飼育員は見たべあ!」編集担当、飼育員の佐藤です。このコーナーでは、なぜ「飼育員が見たべあ!」が誕生したのか、どのように編集しているかなどを語らせていただきます!
 
本誌は2017年7月から毎月発行している、のぼりべつクマ牧場通信(園内情報紙)です。当時は園内情報紙がなく、来園された方が園内の情報を手軽に見ることができませんでした。動物たちと毎日いるからこそ書けるものはないか?と思い立ったのが作成のきっかけでした。そして、飼育員目線の新聞というコンセプトのもとに本紙が誕生したのです。「飼育員は見たべあ!」というネーミングは、某ドラマのタイトルをなぞらえつつ、北海道の方言である「~べあ」をベア(Bear)とかけたものです。
 
情報紙を作成した経験はなかったので最初はどのように表現したらよいか、見やすくするにはどう工夫するべきかと、試行錯誤を重ねて今の形に落ち着きました。記事のネタは、園内のことからお客様が観覧できないバックヤードのクマのことまで、クマ牧場を完全網羅!月初めには次号の記事の作成にかかります。誤字脱字などのチェックを経て、おおよそ3週間ほどで完成します。
 
みなさまのおかげで創刊から16回目の発行となりました。これからも飼育員一同で、よりよい情報をお伝えできるようにがんばります!

記事に載せる写真を撮影中の飼育員

突撃!! インタビュー

このコーナーでは働いているスタッフにスポットを当て、普段聞くことのできない裏話やエピソードを突撃取材!
 

中野富士夫さん(55)


(リポーター) 第4回突撃インタビュー。今回のゲストは、索道課の中野富士夫さんです!さっそく質問ですが、クマ牧場で働くことになったきっかけを教えてください。
(中野さん) もともとルスツリゾートでリフトを動かす仕事を17年間勤めていましたが、一度退職をしました。その後、登別にきて関連会社のクマ牧場に改めて就職をし、今年で13年目になります。
(リポーター) ということは索道歴実質30年目の大ベテランですね!この職業のやりがいは何ですか?
(中野さん) 昔から機械を動かすことが好きなので、生きがいを仕事にできているところですね。索道での接客もやりがいがありますし、接客業も得意だったので天職かもしれません!
(リポーター) 間違いないですね!仕事の中で特に大変な作業はありますか?
(中野さん) 1年検査というロープウェイの点検の前後は大忙しです。あとは点検をするときの山登りが大変です。
(リポーター) ロープウェイが動かないときは山を歩かないといけないのですね。ずばり、ロープウェイの見所は?
(中野さん) 景色が良い所ですね。海と山が同時に見えます。函館の方も見ることができますよ。
(リポーター) とくに雲海の日は絶景ですよね!では最後に、クマ牧場の中野さんおすすめポイントはどこですか?
(中野さん) 今は3頭の子グマの成長ぶりを見てほしいです。また、オスグマを見るならヒトのオリが迫力満点で、景色を見るなら展望台からクッタラ湖をご覧ください!クマはおっかないですがかわいい一面もあるので観察してみてくださいね。
 
※索道課とは、クマ牧場でロープウェイの運行を担っている部署。

のぼクマ劇場

作:さとうりさな