のぼりべつクマ牧場通信 47号(2021年5月)

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2021年生まれの子グマご対面!

初めて見るカメラに興味津々な様子の子グマ=4月26日

2021年1月17日午後2時頃、ラッキー(6才)のいる産室から、1頭の子グマの声が聞こえました。体は小さく、両手のひらに乗せられるほどの大きさでしたが、みるみるうちに大きくなり3か月経った今では、両手のひらではまったく収まらないほどの大きさまで成長してくれました。

現在は、飼育員が母親代わりとなりお世話をしていますが、毎日しっかりミルクを飲み、人懐っこく飼育員に近づいてみたり、1頭で獣舎の中を歩き回る様子を確認しています。
ラッキー親子の産室のお世話中に、子グマの鳴き声が聞こえないと飼育員はとても心配になり、監視カメラのモニターで即座に確認していましたが、ラッキーは今回初出産にも関わらず、しっかり子育てしてくれたおかげで、子グマは3カ月で10㎏を超える程立派な体格になりました。これからどんどん変化がありそうですが、今はとても大人しく、抱っこもされるがままです。

今年も元気に子グマ牧場へやってきましたので、今しか見られない可愛い姿を是非ご覧ください。

ツキノワグマ ナナは今どうしてる?

今年、長期休園に合わせて初めて行った本格的な冬眠から目覚め、動きも活発になってきたナナの、最近の様子について紹介したいと思います。

冬眠が明けてからは、徐々にですが餌の催促行動が増えてきました。また、新たなエンリッチメント器具により、餌を探す行動も頻繁に見られるようになりました。
しかし、4月になっても北海道は気温の変動が大きく、安定して暖かい日は続きません。気温が低い日はまた冬が来たと思うのか、急に静かになり、丸まって寝ていることが多くなっています。もう少し暖かくなると、春の訪れと共にナナの可愛らしい仕草や行動が見られることでしょう。そんな姿を皆様にもお届けしてまいりますので、楽しみにしていてくださいね。

まったりタイムのナナ=4月11日

カラスの巣作りとヒグマ

暖かい気温が続き、山頂も緑が茂り始め、カラスも巣作りを始める季節となりました。
クマ牧場でも巣材を運ぶカラスをよく目にするようにもなりました。このカラスが運んでいるものをよくみると、何者かの「毛」です。どうやら、ヒグマが換毛して抜け落ちた毛を集めているようです。
ヒグマの換毛は、カラスの巣作りの時期と重なります。ヒグマの丈夫でフワフワの毛が巣作りに適しているのか、カラスには大人気です。

4月から夏毛(保護毛)が生え始め、8月からは冬毛(下毛)も生え始めます。12月頃には夏毛と冬毛が生えているモコモコの状態となり、寒い北海道の冬に適応した状態となります。
季節ごとに衣替えをしているヒグマの毛に注目すると、カレンダーを見なくても季節感を感じられるかもしれません。

(写真左)体のあちこちに抜け毛がついている シズク(8才) = 4月22日
(写真右)獣舎内に毎朝落ちている大量のクマの抜け毛 = 4月22日

エブリデイ!エンリッチメント

今回は、1頭で飼育しているオスヒグマ「レン」(10才)の獣舎に消防ホースを入れることによる、行動の違いを見ていきました。
まず、獣舎の中に何もない状況から観察していきます。行動としては大きく分けて、摂餌、休息の2パターンが見られました。

摂餌後の睡魔に負けて休息中のレン=4月8日

次に、エンリッチメント後の反応を観察しました。タイヤに巻き付けた消防ホースを獣舎の上から垂らすと、横になって寝ていたレンはすぐに匂いを嗅ぎ噛みはじめ、興味を示しました。その後の観察でも、前肢で消防ホースを手繰り寄せる行動や引っ張る行動が見られました。たった1本の消防ホースによって、明らかに行動のレパートリーが増えていることが分かります。

新しく設置された消防ホースに興味を示すレン=4月8日

また、限られた環境の中で、ヒグマにとって噛みたいときに噛むものが有るのか無いのかによっても、欲求の満たされ方が変わるのではないでしょうか。引き続き、ヒグマにとって少しでも質の良い生活を送ってもらえるよう、工夫していきたいと思います。

きょうのくまさん

コルク ♀ (推定年齢37才)

小さめの耳。結構ズカズカ行く感じの遠慮のないマイペース女子。ニイサの腕の中でまったり寝るのが至福な時間。

のぼクマ劇場

なる作