のぼりべつクマ牧場通信 41号(2020年11月)

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ふわっふわのマルマルに!?

マルマルになった第二牧場のメスグマたち =10月22日


2020年秋の冬支度は?

10月に入り、冬支度を急ぐように、登別も紅葉が進みました。それを競い合うように、ヒグマの体もどんどん大きく、丸くなり、ふわふわの冬毛に衣替えしています。ヒグマは、7月頃までは本能的に食欲が抑えられていますが、9月頃から食欲旺盛な怪獣のような胃袋になります。いっぱい食べた栄養は、冬の間の貴重なエネルギーとして、皮下脂肪や内臓脂肪になり蓄えられます。

すべてのヒグマがこの冬支度をしていますが、特に注目なのは第二牧場のメスヒグマ「コロン」(21才)や「マリン」(7才)。顔を埋めてみたくなるようなふわっふわで、首がどこにあるかも分からなくなるくらいの丸々になります。この季節感を、ぜひ味わってみてください。

夏毛のマリン(左)=第二牧場、8月12日
ふわふわマルマルのマリン(右)=第二牧場、10月22日

どんぐり割引2020

今年も、毎年恒例のどんぐり割引が開催中です。期間は9月23日(水)~11月20日(金)です。
毎年、この時期に合わせて来園して下さる方々、宅配便で愛情のこもったお手紙付きでどんぐりを送ってくださる方々、本当にありがとうございます。動物達と飼育員一同、心から感謝申し上げます。

心温まるメッセージをいただきました。=10月22日

今月の飼育員のベストショット

「葉からのぞいてみると…」撮影者:猪野彩音

あのクマは今・・・


二ホンツキノワグマ ナナ(19才)メス

野生のクマは、12月から3・4月まで冬眠をしています。その期間中に「ナナ」は疑似冬眠を行い、それに伴い餌の改良も行いました。
その成果か、最近体調等が良い方向に進んでいるように思います。
また、4年ほど前にステージを引退してから獣舎で過ごすことが増え、行動範囲が狭くなってしまったので、いろいろな刺激を与えるようなエンリッチメントの工夫もしています。

現在は、食欲の秋と言うこともあり沢山餌を食べ、エンリッチメント器具で遊んだり、隣の獣舎にいる他の個体とコミュニケーションをとったりしながら、獣舎内で元気に動き回っています。
以前のように、ステージ上で活発に動き回るナナを早く皆様にご覧頂けるように、日々トレーニングを行っています。

獣舎内でゆっくり餌を食べるナナ=10月18日

マニアの独り言。

解剖学では骨の観察により、どのような動物であるか推測することが可能だよね。
例えば、噛む動作(咬合)は下顎を引き上げる動作で、主に側頭筋および咬筋、翼突筋と呼ばれる筋肉が関与し、総じて咀嚼筋(そしゃくきん)と呼ぶ。咀嚼筋は、側頭部から頬骨弓~下顎にかけて付着しているため、咀嚼筋が発達している動物は、頭蓋骨を見たときに、横幅が広くなるのが特徴だよな。

ヒグマの頭骨も横幅が広くなっていて、咬合力が大きいことが推測される。実際ヒグマの噛む力は動物界トップクラスだったはずだ。
基本的に体重が重いほど筋量は増加し、咀嚼力は大きくなる。しかし、同じ体重で比較した場合、咬合力はマレーグマ>ヒグマ>ホッキョクグマとなり、肉食傾向と咬合力が相関するわけでもないのは面白いな。

エゾヒグマ雄20歳
頭蓋骨(上からみた図)
赤印:咀嚼筋群が入り込むエリア
黄印:頬骨弓

エブリデイ!エンリッチメント

どんぐりコロコロどんぶりこ♪どんぐり割引でお持ち頂いたドングリや、日本全国からドングリが毎日届いております。沢山の愛情こもったドングリに感謝いたします。ドングリは、自然な行動を誘発するための貴重なエンリッチメントです。

クマ達にあげると、殻だけペッと吐き出して器用に中身だけを食べることができます。一粒一粒時間をかけて食べています。
リス達にあげると、その場では食べずに、どこかへ運んでいきます。そーっと様子を見ていると、せっせと土の中や巣箱の中に隠しているようです。
冬を越すための重要な栄養素となるドングリは、動物ごとに利用方法が異なるようです。

どんぐりをほおばるノリピー(左)とアイ(右)=10月5日・17日

のぼクマ劇場

なる作