病気のケア(1月11日・12日・13日実施)

のぼりべつクマ牧場では多くのクマを飼育しています。動物たちは、日々、飼育員によって健康を管理されていますが、どうしても風邪をひいたり、ケガをしたり、病気になったりしてしまいます。そのとき、クマ牧場ではどのようなケアをしているのでしょうか。あの大きくて、力の強いクマの治療って・・。
 
あなたがもしクマを飼育していて、クマが「調子が悪そうだな…」と思ったらまず考えるのは「動物病院に行って、獣医さんに見てもらおう!」だと思います。しかし、動物病院にクマを連れて行ってもほぼ100%診てもらえません!そもそも連れて行くことも大変ですが…。そうです、自分で何とかするしかないのです。「自分がもしクマを飼っていたら…」そんな視点でお話させて頂きました。
 
あんな大きくて、力の強いクマは、犬や猫のように、触らせてくれたり、血液をとったりすることは出来ません。そこで、必要になってくるのは麻酔です。吹き矢で麻酔をかけ、眠らせます。
 

吹き矢イメージ図


麻酔がかかってくれれば、こっちのものです。触っても起きません。血液を採ることはもちろん、レントゲン撮影だってできちゃいます。レントゲンの撮影は動物病院に行って、撮ってもらうのではなく、クマの部屋に、機械をもって入って撮っています。体の中を検査できるエコー(超音波画像診断装置)だってできます。大学病院に搬送できれば白内障の手術だって出来ちゃいます。
 

レントゲン撮影時の様子


白内障手術の様子


ただ、手術の後も簡単にはいきません。苦い薬を素直にのんでくれるクマはそんなにいません。そこで、いろんな工夫が必要になります。苦い薬は、好物に混ぜて、薬が入っているのをばれないようにあげたり、警戒心の強いクマには、なるべく頻度を減らせるような薬を選択したりしています。
 
また、人と同じように年をとると若いクマよりも病気になりやすくなります。足の関節が痛くなったり、腰がいたくなったりという症状が出てきます。そのようなクマに対しては床が軟らかい土や落ち葉のものを試してみたり、立てなくなったクマには直接口元に餌をあげるなどの介護をしたりしています。
 
このように、クマの検査や治療などのケアは、犬や猫に比べ、大掛かりになってしまうことが多いです。しかし、工夫をすれば意外といろんな検査ができ、治療もできます。のぼりべつクマ牧場では、日々、動物の健康を守るため、目を凝らして奮闘しています。