ヒグマの出産(12月14日・15日実施)

今年も残り1ヶ月となりました。のぼりべつクマ牧場では今年6頭の子グマを展示していました。そんなかわいい子グマたちはどうやって産まれるのかについてお話をしました。
ヒグマは交尾期が5~7月にやってきます。そして交尾をして妊娠したメスグマは12月~3月の冬眠中に出産します。産まれてくる子グマはなんと400~500gと、すごく小さく産まれます。
 

生まれたての子グマ


母グマと2頭の子グマ

実はメスグマのお腹の中で赤ちゃんが成長するのは約2ヶ月程です。交尾をしてから2ヶ月というと秋になるのですが出産は冬なのは不思議ですよね。これにはお母さんのスゴ技があるのです。
交尾をすると、精子と卵子がくっついて受精卵ができます。ヒグマの場合、この受精卵がある一定の所まで成長すると止まります。そして秋に栄養を蓄え冬眠する頃に受精卵が再度成長を開始して冬に出産します。交尾をしてから受精卵の成長を止め出産の時期を遅らせる事を専門用語で「着床遅延(ちゃくしょうちえん)」と言います。
 
なぜ赤ちゃんを小さく産むのかというと冬眠中に出産をするのですが冬眠中は飲まず食わずで子育てをします。大きく子グマを産んでしまうと、たくさんミルクを与えなくてはなりません。赤ちゃんを小さく産んで与えるミルクを節約しています。またヒグマのミルクは秋に蓄えた脂肪をそのままミルクにしている為、水分を少なくしてエネルギーの消費を節約しています。
 
 
クマ牧場では子グマを増やす時クマの血統を参考に、親子や兄弟の様な近い血統同士がペアにならないことはもちろん、オスとメスの性格・相性・体格等を話し合い、ペアを決めています。交尾期が終わったメスは出産の冬までの間、オスと別の部屋に移動させ交尾をさせていないメスグマより多めに餌を与えて栄養をたっぷり蓄えてもらいます。そして冬になると、「産室」という出産をする部屋に移動させます。
 
産室にはワラが敷いてあり野生のヒグマの冬ごもりの穴に似ています。私たち飼育員は母グマが子育てをしやすいよう汚れているワラの交換や餌の給餌、子グマを育てているかの観察をしています。
 

産室お世話中の飼育員


今年もお母さんになるかもしれないクマがいます。とても大変な時期ですが飼育員も全力でサポートしています。来年も子グマが産まれるか?お楽しみに!