今回は、New消防ホースエンリッチメント器具「サークルファイヤー」をご紹介させて頂きます!
このエンリッチメント器具の発案には、ある課題の発見が背景にありました。飼育しているヒグマたちの行動を客観的に把握するために行動観察記録を毎週つけていますが、放飼している場所での若いヒグマたちの異常行動が少数確認され始めたため、これらに早急に対処するための案は何かないかと工夫を凝らした結果生まれたエンリッチメント器具です。
放飼場は獣舎とは異なり、飼育員が出入りするために必要な確認作業が多く、簡単にはエンリッチメント器具を置いて帰ることができません。また、同様に設置した器具の回収も大変な作業になります。
これまでに放飼場では、消防ホース付きの浮き球を外から出し入れすることで、効率よくエンリッチメント器具を使用することができるような体制にはなっていましたが、予備の浮き球はもうない状態で増やすことはできませんでした。
頭数分のエンリッチメント器具の補充かつ、放飼場でも使用しやすいものはないか…と考えられたのは、結び目付きの消防ホースを輪状にした「サークルファイヤー※」です!※正式名称ではありません。のぼりべつクマ牧場の飼育員での呼び名です。
2mほどの消防ホースの中央に結び目があり、片側の端を、もう一方の端に入れ込んで輪状にしています。消防ホースの中に餌を入れて使用しますが、結び目があることで、入れた餌などがその結び目よりも奥にはいかないようになっています。年齢や状況、個々のクマに合わせて結び目の位置を調整することで、難易度を調整でき獲得できないストレスを防ぐことができます。
また消防ホースは、先端にフックのついた長い棒で放飼場の外から回収することもできます。浮き球より軽いため飼育員も楽々です。クマたちが部屋に戻った後に回収して、翌日は餌を入れて落としておくことで準備と回収が効率良く行えます。
若いクマは「サークルファイヤー」に大はしゃぎ!もはや1才の「エース」は残像しか映りません!
「サークルファイヤー」という名前の通り、皆が活発に燃えるエンリッチメント器具にできるように改善していきたいと思います。