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産室の中を覗いてみると!?
産室近況報告
2022年1月9日にアナが2頭、その10日後の19日にコロンも2頭の元気な子グマを出産しました。
アナは初出産でしたが、子グマ2頭を大事に抱え、しっかりお母さんをしています。
アナについては、子グマの頭数は鳴き声での判別で最初は1頭のみと思われていました。そんなある日の事、ベテラン飼育員が監視カメラのモニター観察中に「もう1頭別の子グマの声がする」と言いました。実際に産室の換気口に耳を近づけて声を確認すると、もう1頭の鳴き声が聞こえ2頭いる事が確認されました。1頭は父のレンに似て自己主張が強く大きな声で鳴き、もう1頭は母のアナに似た大人しい性格のようです。現在は体長およそ40~50㎝程に成長しています。
出産経験のあるコロンも大きな体の下に子を包み、2頭の子を大事に育てています。1頭は「白斑」といって母コロンにもある胸元の白い模様が見られ、体長30㎝程に成長しています。
元気な子グマをお見せできる日まで、もう少しお待ちください!
萩野獣医のサラッと答えます!
ある日の朝、アヒルのキンチャンの歩様に違和感を感じ、左足に痛みがある様子でした。確認すると左足の関節部が腫れて熱もあり、関節部に液体が貯留し炎症が起きている状態でした。そこで体温測定、採血を行い、溜まった関節液を抜きました。顕微鏡でその関節液を確認すると、炎症時に反応し出現する細胞を多数認め、血液検査でも炎症が起きていることが確認されました。細菌感染を疑い、抗生剤と抗炎症薬の投与を開始すると、約1週間後には関節部の腫れも引き、歩様も正常に戻りました。
今後もアヒルたちの異常を早期に発見、対応し、健康で長生きしてもらえるよう努めていきます。
クマ牧場の除雪事情
今年は例年に比べて積雪量が多く、2月半ばから3月にかけては毎日のように除雪をしました。特に悪天候の日には、身長が170㎝以上ある飼育員の腰まで埋まる程の雪が1日で積もりました。
園内の中でも、特にリス村のあるユーカラの里は、強風にさらされて吹き溜まりが多いため、リスの飼育に行くだけでも大変です。
そんな時のお助けアイテムとして、深く積もった雪の上を歩く際に飼育員が使用するものがあります。その名を、【かんじき】(スノーシュー)と言います。このアイテムを使うことにより、大量に積もった雪の上でもスイスイと歩くことができてしまうのです。
今年はオスのエゾリス「クシル」を飼育している屋外展示場が、連日の大雪で半分以上埋まってしまい、安全に飼育することは困難になってしまいました。そのため、屋外展示場から、隣接する屋内展示場への引越しを行いました。気温が上がり雪が融けて屋外の展示場に出てくるまでは、「サンとサツキ」の隣の部屋が「クシル」の部屋となっています。
クマの展示場内も積雪の影響により、安全にクマを出すことができなくなるので、飼育員が展示場内に入り、壁際の除雪をしました。連日の除雪疲れや、筋肉痛になることもありますが、クマ達が除雪した展示場内で楽しそうに走り回っているのを見ていると、除雪の苦労も吹き飛びます。
きょうのくまさん
まるでホッキョクグマのような白い毛が特徴的なクマ。白い毛をしていますが、れっきとしたエゾヒグマです。第二牧場を引退し、現在は同年代のクマたちと共にご隠居生活をしています。年齢を重ねて性格が少し丸くなったかと思いきや、昔と変わらずとてもパワフルでガツガツ系の若々しいおばあちゃんです。元気に長生きしてくれることを願っています。
冬と春のクマの違い
冬となる2月のクマたちは冬眠の時期に入っており、一日のほとんどの時間を寝て過ごしていました。快適に眠れるように寝床を作ろうとするクマが多いため、獣舎内にエンリッチメント器具としてたくさん消防ホースを入れました。すると、クマたちがどんどん近くにホースを集めている様子が見られ、ホースを体の下に敷いて寝ている様子が確認されました。
また、高齢個体の獣舎には稲ワラを入れた所もあり、クマたちは当たり前のように稲ワラも上手に利用していました。そして、複数のクマを集団で飼育しているからこそ見られる、クマたちが集まって寝る様子も見られます。その姿はまるで「クマ団子」のようになっています。
少しずつ気温が上がり春に近づくにつれて、クマたちは少しずつ寝ている時間が少なくなり、食欲も上がってきます。
オスとメスでは、食欲に少し変化が見られています。オスはエサを与えると綺麗に食べ、満足げな顔をしていますが、メスは全て食べきらず、エサを残している個体も見られます。少しずつ春に向け、冬眠ボケしないように体を起こしている様子でした!