のぼりべつクマ牧場通信 55号(2022年1月)

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クラウドファンディング目標達成!!
クマへの想いをひとつに!

クラウドファンディングへの挑戦

のぼりべつクマ牧場は、11月8日より、動物福祉の向上を目的としたクラウドファンディング「クマへの恩返し作戦!動物福祉の向上へ。」を開始いたしました。
本プロジェクトは、日頃、人間とヒグマの軋轢(あつれき)解消のための研究活動に貢献してくれているのぼりべつクマ牧場のクマたちに「恩返し」をしたいという想いで、動物福祉の向上を目的に、環境エンリッチメントや獣医療の発展的な取り組みを行うものです。
また、動物福祉向上の取り組みは、のぼりべつクマ牧場のクマたちだけではなく、全国のクマ牧場でも応用して頂けるように、実践した結果を検討し、クマたちがどのような反応を示すのか、どのような方法がクマ牧場形態では効率的かつ継続的に実践可能なのかの検証を行うことも目的となっています。

昔は日本国内の動物福祉に対する関心は、高いとは言えない状況でした。そのため、数十年前であれば動物福祉向上を目的に300名を超える多くの方々にご支援頂くということは、誰もが想像出来なかったと思います。しかし、今回の挑戦では、開始5日で第一目標の120万円を達成し、皆様のおかげで第二目標の310万円も着実に達成することができました。さらに最終日には、第三目標とした410万円を超えることができました。最終的な総支援金額は、435万5千円になりました。

野生クマたちとの共存を想い、飼育クマたちへの恩返しとしての動物福祉向上に、多くの方々の熱い想いが集まりました。本当に多くの方々にご支援と応援を頂き、のぼりべつクマ牧場一同、心より感謝を申し上げます。

今後に向けて…

皆様よりご支援頂きました資金で、日常的な環境エンリッチメントの実践および検証、クマ用プールの全獣舎への設置などの暑熱対策、獣医療機器の購入を進めていくことができます。
クマ牧場形態の先駆けとして、のぼりべつクマ牧場はクマ牧場のクマたちの動物福祉向上のため、皆様のご期待に応えられますよう、今後もより一層頑張っていきたいと思います。皆様のクマへの想いをひとつに、クマへの恩返しを進めて行きたいと思います。本当に本当にありがとうございます。

産室入りました

今年は5頭のヒグマが、出産の準備のための個室「産室」に入室しました。
繁殖方法は、今年も2種類の方法をとりました。ひとつは【自然交配】といって、繁殖期にメスとオスが同居し交尾を行う方法と、もうひとつは研究段階ですが【人工授精】といって、オスから採取した精液をメスの排卵のタイミングに子宮内に注入する方法です。

自然交配の3ペアについてご紹介します。まずは、初めの顔合わせからお互いに匂いを嗅ぎ合いスムーズにペアになった「コロン&ロッキー」。「マリン&トクト」は、早めにトクトを受け入れたマリンに対して、トクトは隣の部屋のメスが気になりどこか落ち着きがありませんでした。「アナ&レン」は、レンが近づくだけで嫌がっていたアナでしたが、諦めずにレンが猛烈アタックし続け、最後はアナが受け入れて、やっとの思いでペアになりました。

人工授精については、6月22日にサホロ ベア・マウンテンで飼育されている2頭のオスヒグマの凍結精液を「スミリ」に、6月14日には事前に採取したロッキーの精液を「マロン」に、それぞれ注入しています。

産室内は巣穴のような構造になっておりとても静かで、飼育員は天井にある換気口から毎日観察を行います。飼育員があらかじめ室内に敷き詰めたワラを、クマたちはベッドメイキングするかのように前肢で上手にかき集めながら、自分好みの形に整えて丸くなって寝ています。
今年の5頭は過去に産室に入ったことのあるクマたちなので、赤ちゃんグマの声が聴けるよう、期待が高まります。

「ピリカ」子グマ牧場卒業

2021年4月29日から子グマ牧場で暮らしていたピリカですが、12月6日に子グマ牧場を卒業し、大人のクマの飼育エリアにある部屋に引越ししました。子グマ牧場で暮らし始めた3か月齢での体重は約10㎏でしたが、ピリカの名前の由来通りとても立派に成長して、卒業時には70㎏を超えるまでに大きくなっていました。
子グマ牧場の卒業に伴って、お客様に成長を間近で見て頂くことは難しくなりましたが、SNSなどでピリカのさらなる成長をご覧頂けるように、定期的にご報告させて頂きますので楽しみにしていてください。また、これからのピリカの生活を良いものにできるように、飼育員一同頑張ってまいります。

引っ越し直後の新しい部屋で、そわそわしている「ピリカ」=12月6日

教えて!!Q&A

○ペンネーム「鏡 葵衣」さま

Q クマの部屋を掃除するときや餌はどうやってあげているの?

A クマがいる部屋には飼育員でも入れません。掃除や給餌をするときは、クマが放飼場に出ている間に部屋に入って掃除や餌のセットを行います。掃除はホースの水で洗い流します。部屋が広くて家庭用のホースでは時間がかかるため、消防用の太いホースで水洗しています。

きょうのくまさん

マケンコ(34)

なんと、のぼりべつクマ牧場のご長寿記録を更新中の34才。人でいうと100才を超えるおばあちゃんで、毎日のんびり暮らしています。寝るのが大好きで、食後はすぐにお昼寝しています。リンゴのジャムが大好きな甘党でもあります。今後も楽しく長生きしてね。

のぼクマ劇場

なる作