(↑クリックでPDFをダウンロード)
2018年度 第一牧場のボスグマ 6年連続ダイキチに決まる
第一牧場のボスグマが今年も「ダイキチ」に決定しました。ボス就任期間は6年連続となります。
ボスグマとは繁殖期となる5月~7月中旬までの期間に群れの中で最も優位に立っているクマのことで、この期間の行動記録をもとに飼育員らで話し合い決定します。開園60周年を迎えるのぼりべつクマ牧場の長い歴史の中で、ダイキチのボス就任年数は第13代ボスの「フミオ」に並び歴代3位となり、ボスとしての安定感が出てきました。6年連続というのは12年ぶりの快挙です。絶対的な地位を獲得した「ダイキチ」が来年も歴代記録を更新するかもしれません。過去の連続記録は「マツ(9年)」、「ゴンゾー(7年)」、「フミオ(6年)」です。
メスグマの群れではボスは存在せず、繁殖期のオスの群れにのみ明確な優劣が見られます。しかし、もともとクマは群れで行動する動物ではないので、ボスが群れの統率を取るということはありません。また、力関係は毎年同じではないため、毎年ボスが変わる可能性もあるのです。
~ボス集計~ ボスグマが決まるまでの道のり
ボス集計とは繁殖期である5月~7月中旬に、マーキング行動である背こすりや強さを示す威嚇などの行動数を記録することです。今年の背こすり回数の上位はダイキチ、ナッツ、マンタロウでした。第一牧場の雰囲気は例年よりも落ち着いたまま繁殖期を終えました。繁殖期のクマは苛立ちやすく、クマ同士の喧嘩が起こりがちです。しかし、今年はオス群れの頭数が例年より2頭少なく密度が低くなったため、穏やかな繁殖期になったのかもしれません。
そのような中でも、集計を終了する直前の7月14日に決定的な動きがありました。マンタロウがダイキチへ威嚇をしかけました。すかさずダイキチも威嚇を行い、均衡状態が続きました。すると、そばにいたナッツがダイキチの加勢をするようにマンタロウに威嚇。さらに、ダイキチがマンタロウへ向けてダメ押しのごとく大きな威嚇をすると、勝ち目がないと悟ったのかマンタロウは1歩2歩と後退しその場から立ち去って行きました。
エブリデイ!エンリッチメント
60周年特別イベント「こぐまに手作りおもちゃをプレゼント」
開園60周年を記念した特別イベント「子グマに手作りおもちゃをプレゼント」を7月13~15日に開催しました。事前予約のお客様が飼育員と一緒に子グマ用のおもちゃを作製し、子グマにプレゼントしました。作製中のお客様は「できあがりが楽しみ」、「おもちゃ作りが楽しい」と話されていました。おもちゃは車のタイヤ、消防ホースを編んだハンモック、穴の開いた浮き球でできたフィーダーにジャムや果物などをトッピングしたものです。お客様から一番人気が高かったものはハンモックで、編むには力が必要ですが段々と形になっていくのでやりがいがあったそうです。
子グマたちのいる牧場におもちゃを設置すると、初めのうちは少し警戒するも、すぐに遊び始めました。ジャムが塗ってある浮き球は、舐めて抱きつくと中からドックフードや果物が落ちてきて、子グマたちは夢中で食べていました。隙間に餌を挟んだハンモックは、かみつき引っ張って利用し、器用に餌を取っていました。消防ホースで釣られているタイヤは、穴の中に顔を入れるなどユニークな方法で使用していました。初めて見るおもちゃに興奮を隠せない子グマたちでした!
北海道大学との共同研究 人工授精の取り組み
のぼりべつクマ牧場では北海道大学と共同で、ヒグマの人工授精や繁殖メカニズムに関する研究をおこなっています。ヒグマの繁殖メカニズムは不明な点が多く、繁殖期にどのようにオスとメスが会い、どのように排卵※1し受精※2しているのか、詳しくは分かっていません。また、ヒグマの人工授精も世界中で未だ成功した例がありません。のぼりべつクマ牧場では繁殖期となる5月~7月中旬に週1回、麻酔でメスのクマを眠らせ、エコー(超音波画像診断装置)を用いて卵巣や子宮の状態を観察しています。また、オスのクマも麻酔で眠らせて、人工授精に用いる精液を採取して保存する研究もおこなっています。
※1 卵巣内の卵子が受精の準備のために子宮へ向かうこと
※2 卵子と精子が出会い合体すること
今月のベストショット
きょうのくまさん
トクトは4月に「サホロ・ベアマウンテン」へ移動したホルトと双子の兄弟です。性格は穏やかでお兄さんタイプ。今は同い年のロッキーと一緒に生活をしています。実は、今年生まれたベクトとトッキーのお父さんです!
のぼクマ劇場
飼育員は見たべあ!一覧はこちら