今年生まれた5頭の子グマに、クマのおやつとしても使われているクマ用餌の粉末を使ってエンリッチメントを行いました。
乾燥したままの粉と、粉を水でふやかしたもの、どちらの方が反応が良いのか、どんな行動が引き出されるのか、粉を与えてから10分間の行動を観察しました。
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乾燥したままの粉をなめる子グマ
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粉を水でふやかし、丸太につけたものをなめる子グマ
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結果は、ふやかした粉の方が良い反応が見られました。
考えられる理由としては、水でふやかされた状態にすることで、粉のままよりも匂いが強くなり、嗜好性が上がるのではないかと考えています。また、粉をふやかす効果としては、丸太などに付けやすくなります。ただ与えるだけでなく、高いところの丸太などに付けることで、子グマたちが丸太に登るという行動が引き出されるなど、粉のままよりも行動のレパートリーが増える結果となりました。
とはいえ、粉のままの状態では効果が無いというわけではなく、ふやかした状態よりも舐める行動はより多く引き出されていました。こちらは粉だけ準備すればよいので簡単に作業に取りかかることができ、広く撒けば子グマが散らばって舐めるので、取り合いすることなく採食時間を延ばすこともできます。
今後は、この2種類のエンリッチメントを臨機応変に使い分けていきたいと思います。