新型コロナウイルス感染拡大防止の為の休業中に、第ニ牧場に新しくエンリッチメント器具を設置しました。ズバリ、「浮き球宝石箱」です。
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新浮き球エンリッチメントを利用するクマ(マリン)
これまで、展示場に設置していた浮き球のエンリッチメント器具は牧場内にある高い柱にぶら下げる仕組みとなっていました。
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旧式の展示場浮き球エンリッチメントの様子(左カンタ、右ナッツ)
その為、営業終了後のクマ収容後に、牧場内に入り、浮き球の中身を補充しなければなりませんでした。メスのエゾヒグマを展示している第二牧場は、牧場内に入るための通路などはありますが、クマを収容した後は主にハシゴを使用し牧場内に入ります。
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第二牧場のコンクリートの高い壁
でもその前に、牧場内へ飼育員が入るためにとても重要な作業があります。それは、牧場内にクマがいないことを確認することです。人間がクマと同じ柵の中に入ったら、たとえ飼育員であっても…。
クマがいないかどうかの確認を行うことは最も重要な作業となります。
まずは、牧場の外からクマがいないか複数で確認し、その後、1名が牧場内に入り隅まで確認します。その際、もう1名は不測の事態に備え牧場外で待機しています。この作業は必ず2名以上で行います。
このように餌の補充には、多くの手間がかかっていましたが、その方法を大きく改善するエンリッチメント器具が誕生しました。
浮き球の形は同様のまま、ぶら下がる浮き球の下部に、更に消防ホースを取り付けました。そこへ先端にフックのついた長い棒を用いて引っ掻け、引っ張り上げることで、牧場内に入らず浮き球を手元へ持ってくることができ、餌を入れることを可能にしました。下部の消防ホースの先端には輪を作っているため、長い棒のフックに輪を引っかけることで、容易に引っ張り上げることが出来ます。
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浮き球に餌を入れる様子(左)、浮き球の仕組み解説(右)
この方法を確立させたことで、牧場内に入る手間を省き、1名で補充することができるようになり、エンリッチメント器具の活用頻度を高めることができるようになりました。
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浮き球の中の餌を必死で取ろうとする第二牧場の様子(左マリン、右エリカ・コロン)
浮き球に餌を入れることで、野生のクマが1日の時間をほとんど費やすという、餌を探す「探索行動」という習性を引き出すことができました。
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新しい浮き球エンリッチメントを利用するクマ達
早朝から、お昼ごろまでは浮き球がとても人気です。
クマにとって宝石箱のような存在にできたらいいなと思います。