新型コロナウイルス感染拡大防止の為の休業中に、第一牧場にも新しくエンリッチメント器具を設置しました。
ズバリ、【空飛ぶ浮き球】です。
簡単に言うと公園にあるターザンロープのようなものを作りました。
一本の長い消防ホースを牧場内にある2つの高い柱に橋を架けるように伸ばし、そのホース上に穴を開けた浮き球を吊るしました。浮き球はホース上を自由に動かすことが出来ます。
浮き球の下部には消防ホースが伸びているため、浮き球を動かすためにクマが引っ張って自由に動かすことができます。
これまでオスグマの展示場に、エンリッチメント器具として吊るすだけの物を導入しても、気にするクマは少なく、短期間で飽きが生じていました。
飼育員が常に牧場内の浮き球を見張って常に動かすことができれば気にして近づいてきてくれることもあるかもしれません。ですが、クマ牧場には他にもたくさんのクマ達を飼育しており、中々そうはいきません。
クマ自身でエンリッチメント器具を動かし、他の個体も興味をもってくれたら飼育員的には一石二鳥です。
浮き球は、柱にかけたホース上を自由に動かすことができますが、第一牧場の足元は平らではなく、でこぼこで高さも異なります。そのため、クマが届く高さの位置まで移動をしないと、中の餌をとることが難しい状況になっています。そこで、クマたちがどのようにしたら餌を効率よくとることができるのか、考えて実行するまでの、クマの学習能力の高さをご覧いただけると思います。
更に浮き球に餌を入れることで、エサをそのまま与えるよりも、浮き球に開けた小さな穴から出る餌を少しずつ食べることで、「採食時間を伸ばす」事ができます。
どうしてもお客様がいないタイミングに、クマたちが暇を持て余す時間があります。そんな時、エンリッチメント器具はクマの遊び相手になってくれるクマの良き友達であり、飼育員の味方です。
空を飛ぶような浮き球を追う無邪気なオスグマの姿が見ることができたらラッキーですね。