のぼりべつクマ牧場のヒグマは獣舎内にあるぶら下がった消防ホースを噛んだり、引っ張ったりしています。しかし、野生下のヒグマは消防ホースで遊んでいるというのは聞いたことがありません。なぜ、獣舎内に消防ホースをいれるのでしょうか。
シンプルに言いますと「ヒグマは、顎が発達している動物だから」です。私たち人間も進化の過程で得た能力を発揮したいと思う機会があると思いますが、制限されていないと気付きません。
例えば、2足で歩く、話す、指を動かす。これらは人間が長い年月をかけて進化の過程で得た能力です。これらが全く出来ない環境になったらムズムズすると思いませんか?
ヒグマも進化の過程で得た能力を発揮させてあげることでスッキリとし、生活が豊かになるという考え方です。
実際にクマたちが消防ホースで遊ぶ様子はこちら。
動物園のヒグマ獣舎は頑丈にするためにコンクリートと鉄で出来ています。多くの獣舎で噛めるものは餌以外にはありません。ただ、餌は食べると無くなってしまいます。
そこで、ヒグマが全力で噛んでも壊れない消防ホースが活躍しています。「あー、何か噛みたいなー」そう思った時に、全力で噛むものがあるかないか。この選択肢があるか、ないかが動物福祉には重要です。
もちろん、噛むもの以外もヒグマの能力を考慮したエンリッチメントが必要なので、消防ホースは様々な形になって、ヒグマの獣舎生活に貢献しています。