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ブランコに乗りたくなる魔法!?
クマがブランコに乗る?
1日2回「クマのアスレチック」というクマの行動に合わせて飼育員が解説を行うイベントがあります。その中に、クマがブランコに乗るシーンがあります。クマは通常、ブランコに乗るなんてことはしません。これまでは餌で誘導してブランコに乗ってもらう方法でしたが、クマの習性・ショコラの個性的な特徴を生かし、自発的に乗りたくなるように改善を行いました。
ポイントは、クマの習性を活かし、ロープを活用して好物を吊したところです。最初はロープを長めに設置していたこともあり、すぐには乗りませんでした。ブランコの横で立った状態で背伸びをし、吊るしてある餌を前足でパンチして、ゲットされてしまっていました。しかし、それではブランコに乗ってくれません。そこで、ロープの長さを少しずつ短く調整していくと、徐々に背伸びしても餌が取れない高さに調整でき、ブランコに自発的に乗るようになりました。ただ、試行当初はブランコ滞在時間が短く、あっという間に降りてしまっていました。なかなか長時間乗ることが難しく、次の課題がでてきました。
ブランコの滞在時間を延ばすため、すぐに食べ終える餌ではなく、葉の沢山ついたヤナギの枝を利用しました。すると、葉の量もありブランコに乗る時間が自然と長くなりました。クマの習性上ヤナギの葉だけを綺麗に食べ、枝だけが大量に残るため、再利用の方法を考え、枝に野菜やオヤツを取り付け、ブランコの上部に吊るす方法を実践しました。上手く爪を使わないと取れないので長時間ブランコに乗ってくれるようになりました。現在は自発的にブランコに乗り、片足をあげて一生懸命に餌を取る姿が頼もしいです。クマのバランス感覚、ショコラの個性的な姿を是非ご覧ください。
世界初!ヒグマにMRI
ショウヘイ(2才)が、6月25日、世界で前例のない「クマのMRI検査」に挑みました。ショウヘイは、昨年より時折、突然意識消失をおこしてしまう「てんかん」の症状をみせており、のぼりべつクマ牧場でも原因追究のため検査を行ってきましたが、原因の特定には至りませんでした。
そこで、「酪農学園大学付属動物医療センター」に精密検査の依頼を行い、MRIと脳脊髄液検査を行う事になりました。「てんかん」は生前に原因の特定が難しい病気です。死後の病理検査の報告は、ホッキョクグマなどでありますが、ヒグマが生前にMRIの検査をした記録は、世界のどこにもありませんでした。当日、ショウヘイは全身麻酔下でMRI検査を行い、脳に腫瘍や炎症などの異常が無いことが確認されました。また、全身麻酔中にうなじに針を刺して脳脊髄液を採取する「脳脊髄液検査」も無事に終え、異常がないことが分かりました。
検査結果から、現在は「特発性てんかん」として、環境をショウヘイに合わせ、必要に応じて薬で「てんかん」症状をコントロールするなどのケアを行っています。検査後、2か月以上経ちましたが、この2か月間に意識消失の症状は見られていません。まだまだ若いショウヘイ。これからビッグなスターになるべく、すくすく育ってもらいたいと思います。
暑い夏。氷中果物開幕!
今年も登別に暑い夏がやってきました。子グマ牧場では、8月8~23日の毎週土・日・祝日に「氷中果物プレゼント」を開催しました。子グマに暑い夏を楽しく乗り切ってもらおうという毎年恒例のイベントで、リンゴが入った氷の塊を子グマにプレゼントし、飼育員が解説を行います。子グマにとっては氷自体が初体験となるイベントです。
初日、子グマの「エース」は、初めての氷と大勢のお客様に圧倒されたのか、警戒モードでした。飼育員が近くに持っていくと、少し気にするようになり、10分ほど経つと、やっと食べ始めました。要領が分かると、前肢と歯を器用に使って、カチカチに凍ったリンゴを勢いよく食べ始めました。凍った固いリンゴをかじれる歯の丈夫さと顎の力。おそるべし。
アイヌコタンの曲の秘密
ロープウェイ山頂駅からヒグマ博物館の前を進むと、茅葺の家(チセ)が立ち並ぶアイヌコタン「ユーカラの里」があります。コタン(集落)に近づくにつれてウポポ(歌)が聞こえてくると思います。座り歌やリムセ(踊り)で歌う歌、全てアイヌ語で歌われていますが、意味を持たない掛け声も多く含まれる、アイヌ独特の音楽です。豊作を祈ったり、鳥や動物や自然の様子を歌ったり、作業歌や子守歌や儀式の歌、なかには二人の女性が一人の男性を奪い合う様子を歌った「色男の舞」や、近くにクマが現れたのを知らせるために叫んだ声を表したという歌も。
曲については、ポロチセ内にてパネルで紹介していますので、そちらもご覧ください。(※アイヌ民族文化財団から寄贈していただいたフンペ・シスターズのCD「フンペ・テレケ」を使用しています)