NPO法人 市民ZOOネットワークが主催するエンリッチメント大賞2022にて、のぼりべつクマ牧場による「持続可能なエンリッチメントの取り組み」が「エンリッチメント大賞2022努力賞」を受賞しました。
市民ZOOネットワーク エンリッチメント大賞2022
http://www.zoo-net.org/enrichment/award/2022/
エンリッチメント大賞とは
「エンリッチメント大賞」は、動物園・水族館に対する社会的な意識を高め、環境エンリッチメント(飼育動物たちの生活環境を豊かにするさまざまな工夫・試み)を推進するため、市民ZOO ネットワークにより創設されました。2022年度で21回目となります。
受賞背景
のぼりべつクマ牧場 動物課では、動物福祉向上を目的とした「2023年ビジョン」を掲げ、目標に向けて日々尽力してきました。2021年末にはクラウドファンディングによってその動きを加速させ、2023年ビジョンは達成に近づいております。そのなかで、動物福祉の取り組みは持続可能でなければならないということに重点を置き、毎日の飼育全頭の行動記録やエンリッチメントにおけるコストパフォーマンスの検証なども継続しております。
これらの一連の取り組みがエンリッチメント大賞2022にて評価され、受賞に至りました。
具体的な取り組み事例
・消防ホースなどの廃材を利用し、浮き球やコングに餌を入れる方法での給餌
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※獣舎の様子(採食時間を延ばすことで、ストレスの軽減を図っている)
・異性を探す繁殖期にストレス行動が増加するため、異性の糞や毛をエンリッチメントとして利用
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※結果としてストレス行動の減少(13.91%→4.37%)が得られた
・エンリッチメントにかかるコストを考慮したコストパフォーマンスを検証
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※検証結果のグラフ(消防ホースのコストパフォーマンスが断トツで高いことが判明)
・全頭の行動を記録し、科学的な評価をもとにエンリッチメントを実践
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※2年間の行動推移(年間通して季節的な変化があるが、徐々に異常行動が減少している)
・繁殖頭数の適正化に向けた科学的な繁殖管理(北海道大学との共同研究)
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※エコー検査中(ヒグマの排卵様式などを解明し2020年にも国際的な科学誌に発表)