クマの冬ごもり~飲まず食わずで生き抜く冬~(2月11日、12日実施)

のぼりべつクマ牧場がある北海道の1・2月はとってもとっても寒く、昼も氷点下の気温が続き、水もすぐに凍ってしまうような恐ろしい寒さです。そんな厳しい寒さの中、森の中には餌となる木の実などの植物もありません。

野生のエゾヒグマはどのようにこの厳しい冬を過ごしているのでしょうか。どうやら野生のエゾヒグマはこの厳しい季節の間、「冬ごもり」という面白い冬の過ごし方をしているみたいです。そんなエゾヒグマの冬の過ごし方をご紹介します。

「冬ごもり」とは「ヒグマの冬眠」のことを意味します。そもそも「冬眠」も私たち人間の生活には馴染みのない言葉ですが、冬にとにかく動かないで生活することです。それはエネルギーの節約につながり、食べる量や飲む量を減らすことができるので、餌のなくなる冬を過ごすにはぴったりの過ごし方なのです。

クマの冬ごもり

その冬眠の中でも、なぜヒグマの冬眠は「冬ごもり」と呼ばれるのかというと、冬眠中の眠りの浅さに理由があります。
小型哺乳類のリスなど、多くの冬眠は、眠っている最中は、大きな声を出しても触っても起きないほどの深い眠りです。それに対してヒグマの冬眠は、近づいてくる足音だけで目が覚めるような浅い眠りなのです。ほかの動物の冬眠に比べ、「ただ、冬に穴にこもっているだけ」のようにみえるので、「冬ごもり」という呼ばれ方をしています。

しかし、この「冬ごもり」中は、体の中では信じられないほどの冬眠状態になっています。小型哺乳類の冬眠中は、春までに何度か起きて、巣穴に貯めていた餌を食べたり、うんちやおしっこもしたりします。それに対してヒグマは、春がくるまでの3~4か月もの間、ずっと浅い眠りの状態で、なんと何も食べずに、何も飲まずに、うんちもおしっこもしないで過ごしているのです。何も食べずに3~4か月ですよ!信じられないですよね!

生後間もなく

ミルクの成分表

そんな信じられない「冬ごもり」中にヒグマは出産もします…。そのために、赤ちゃんがおなかの中で成長をとめたり、ミルクも特濃ミルクだったり、もう、何がなんだかわからないほどヒグマってすごすぎるとしか思えなくなってきます。すごいところが多すぎてダイジェストでは説明しきれませんが、他の季節と違う冬のヒグマの姿をぜひ、のぼりべつクマ牧場でご覧ください!次回のレクチャーもお楽しみに。