のぼりべつクマ牧場には、ヒグマはもちろんですが、ツキノワグマやタヌキ、リス、アヒル、イヌなど多くの動物を飼育
しています。動物たちは日々、飼育員によって健康管理をされていますが、どうしても風邪をひいたり、病気になったりしてしまいます。そのとき、クマ牧場では動物たちの体調をどのように検査しているのでしょうか。あの大きくて、力の強いクマの検査って!?
検査が必要だと判断するスタートは日々の観察です。クマが歩いているのを見て「あれ?足が痛そうだな」と思った時は、足のレントゲンだって撮影できちゃいます。でも、どうやって撮影しているのでしょうか。クマにお願いしてじっとしておいてもらうのは難しいですよね。ほとんどの検査は薬で眠ってもらう「麻酔(ますい)」という作業から始まります。麻酔は「吹き矢」を使います。吹き矢は動物に刺さると勝手に中身が注入されていくしくみになっています。実は吹き矢はすべて手作りで、実際に勝手に薬が注入されるところを見てもらうと、不思議ですがこれがまた面白いですよ。
麻酔で眠っている間は採血や、エコーだって出来ちゃいます。採血でもらった血液は、人間と同じように検査センターに提出して、結果が紙にまとまって返ってきます。その結果をもとに病気かどうか判断し、疑わしいものはさらに検査を進めていきます。エコーは大きなオスのクマでも心臓をはっきりと見ることができるのですよ。
採血でもらった血液は顕微鏡でもチェックします。顕微鏡で血液の中の細菌と戦う「白血球」や酸素を運ぶ「赤血球」に異常がないか見ることができます。しかし、クマの血液とアヒルの血液を見比べてみると見た目が全く違います。これはどちらかが病気というわけではなく、動物ごとに健康な状態が異なっていたのです。このように、動物ごとの健康な状態をしっておかなければ検査をしても病気かどうかは分からないのです!
クマのことを知らないと、検査をしても病気は分かりませんが、麻酔をかけることで血液検査、エコー、レントゲンなど、意外といろいろな検査ができます。また、クマは人間と話すことができないのでどこが痛いのか言ってくれません。私たちは「検査」を通して、クマと「今日調子どう?」というコミュニケーションをとっているのです。
んー。検査って奥が深い…。
次回のレクチャーもお楽しみに!