ヒグマ「アルファ」が亡くなりました。

のぼりべつクマ牧場のヒグマ「アルファ」(メス)が2026年6月12日に死亡しました。32歳でした。

アルファは昭和新山クマ牧場から来たヒグマです。
10年以上前からバックヤードで隠居生活をしており、特に園内最高齢であるマケンコとは隣に並んで寝ていたりと仲睦まじい様子が見られていました。
顔の周りの白い毛が特徴的で、餌を食べる時には前肢を大きく開いて食べる独特な姿勢も見せてくれるマイペースなクマでした。

30歳を超えて高齢となっても健康状態に異常は無く元気に過ごしていましたが、2025年11月頃から痩せが目立ったため、カロリーの高い餌を与えるなどして飼育員・獣医で協力して治療を行っていました。食欲に問題はないものの、冬ごもりの時期になっても痩せている様子は続いていたため、アルファのみ冬ごもりの時期を遅らせて給餌を続けるなど、体型に合わせてサポートを行いました。
ようやく瘦せが少し改善し、先に冬ごもりをしていた他個体と合流させると、久しぶりに出会った他のクマを気にして寝ないこともありました。しかし、次第に眠っている時間が増え始め、飼育員一同ほっと胸をなでおろしたこともありました。

冬ごもり明けからも再び痩せている様子があったため給餌内容を調整し太らせようと試みましたが、さらに痩せが進行していたため6月10日に麻酔下での検査を行いました。

検査の結果、重度の痩せが見られた一方で、お腹は水で膨らんでおり(腹水)肝臓あるいは脾臓が異常に大きくなっている腫瘍(ガン)が疑われる結果となりました。
また、検査翌日から食欲が落ち、あまり動きたがらない様子を示し、嘔吐を繰り返すこともありました。
前日の麻酔の影響が残っている可能性も考えられましたが、その翌日も同様の症状を示していました。
アルファの様子を受け、倫理委員会を実施し、現在のアルファの状態が精密検査や手術に耐えられる状態ではないことや、隔離治療によるQOL低下(仲の良いクマたちとコミュニケーションが取れないということ)、食欲廃絶を示すほどの苦痛が続いていることを考慮し、苦渋の決断ではありますが安楽死処置を実施することとなりました。

病理解剖の結果、肝臓に大きな腫瘍(ガン)が見つかりました。麻酔下の検査で疑っていたものと一致しており、痩せの原因は腫瘍にエネルギーを奪われていたことが推測されました。肝臓は正常な構造があまり残っていないほど、腫瘍に侵されており最期までよく戦ってくれたことがわかりました。その他の臓器に大きな異常はありませんでした。

アルファは今後のクマたちの飼育管理向上に非常に貴重な知見を残してくれました。痩せが見られた個体への対応方法など、次に向けて改善すべき点が多くありました。
身をもって多くのことを教えてくれたアルファには本当に心から感謝しております。今後もクマの疾患を予防するための知見を蓄積していくとともに、今までのアルファとの思い出を懐かしみ、現在のクマたちの福祉向上に努めてまいります。