のぼりべつクマ牧場では、一般公開エリアから離れた場所に、母グマたちが冬ごもりをしながら出産・育児を行う「産室(さんしつ)」があります。
2026年、当施設では5頭の母グマから、計8頭の新しい命が誕生しました。
外からは見えないその空間では、母グマたちが我が子を守り、寄り添いながら、懸命に子育てを続けています。
今回はその中から、「ハル」の産室での子育ての様子を伺える映像を特別に公開。
普段は目にすることのできない、出産直後からの貴重な記録を通じて、クマという動物の持つ力強さと繊細さの両面を感じていただければ幸いです。
母グマ「ハル」の子育て
母グマの子育ては、とても繊細で力強いものです。
出産直後の子グマはなんと約400gと非常に小さく、体温調節も十分ではありません。そのため母グマは、常に子グマと寄り添いながら過ごします。
「ハル」もまた、産室の中で子グマを優しく抱き寄せ、体を温めながら、鳴き声やわずかな動きにも気を配り続けています。
その姿からは、野生動物としての本能と、母としての深い愛情の両方を感じることができます。
産室という特別な空間
産室は、母グマが安心して出産・子育てを行うための静かな環境です。
外部からの刺激を極力減らし、母グマが落ち着いて過ごせるよう細心の注意を払っています。
人の目に触れることの少ないこの場所で、子グマたちは母のぬくもりに守られながら、少しずつ成長していきます。
小さな鳴き声や、寄り添う仕草ひとつひとつが、命の尊さを感じさせてくれます。
子グマたちの成長と飼育環境
当園では、母グマが産室で出産した後、約2~3ヶ月間は母親のもとで育て、その後は子グマのみで生活する環境へと移行しています。
子グマの成長段階に応じて人の管理下で育てることで、体重や体調の変化を細かく把握し、獣医による日々の診断の元、病気や発育の遅れなどにも迅速に対応することが可能となります。
ともに育つことの意味
さらに、子グマ同士が同じ環境で育つことも重要な要素のひとつです。
クマは単独で行動する動物ではありますが、幼少期における個体同士の関わりは、その後の行動や社会性に大きく影響します。
クマはとても賢く、同じ年に生まれた子グマ同士で過ごすことで、適度な距離感や関わり方を学び、成長後も安定した群れとして行動できるよう育ちます。
一方で、親子のみで長期間育った場合には、他個体との関係構築が難しくなり、合流時に争いが生じる可能性が高まる他、その後の生活においても個体同士の闘争が頻発してしまう恐れがあります。
当園では、こうした特性を踏まえ、子グマたちが無理なく成長し、将来的に安定した群れを形成できるよう環境を整えています。
命に向き合うということ
当園では、クマたちの姿を通して、動物たちの命や生態について知っていただくことを大切にしています。
特に出産や子育ての時期は、命の誕生と成長を間近に感じることのできる貴重な機会です。
母グマが子グマを守り、育てる姿には、野生動物としての力強さと同時に、命をつなぐ尊さが表れています。
こうした姿を通して、クマという動物への理解を深めていただくとともに、人と野生動物とのより良い関係について考えるきっかけとなれば幸いです。
母グマの愛情を一身に受けて育った子グマたちは、現在、外の世界へと踏み出すための大切な準備期間を過ごしています。
当園では個々の成育状況を見極め、健やかな成長を支える最適な環境への移行を進めております。
ロープウェイ法定点検に伴う休園期間を経て、2026年4月25日(土)の営業再開より、いよいよ子グマたちの一般公開を開始いたします。
小さな命が成長していくかけがえのない瞬間を、ぜひ間近でご覧いただければ幸いです。













