のぼりべつクマ牧場通信 69号(2023年3月)

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歴代長寿記録更新!!

獣舎にてまったりくつろぐマケンコ(36)=1月21日

1987年1月18日生まれの「マケンコ」が、自己の持つのぼりべつクマ牧場歴代長寿記録を36歳に更新しました。人間で言うと110歳程になります。マケンコは1歳から15歳まで、当時のクマ山ステージで自転車や大玉に乗るショーに出演していました。その人気からか、今でもお客様から「マケンコは元気にしていますか?」とご質問いただく程、長く愛されているクマです。

現在はバックヤードの獣舎で、マケンコ含め5頭のクマと同居し、仲良く集まって冬眠しています。その姿はとても幸せそうにも見えます。マケンコの最近のマイブームは、日向ぼっこをしながら寝ることです。しかし、同居しているクマたちにいつもの定位置を占領されてしまうと、「どうにかしてよ~」と言わんばかりに飼育員に近寄ってくる可愛い一面もあります。

そんなマケンコは、他のクマに比べて爪が長いという特徴があります。爪が伸びすぎると折れてしまったり、隣の爪と交差してケガをする恐れがあります。その際は、獣舎の格子の隙間から前肢を出してもらえるようにマケンコの大好きなクマのおやつで誘導し、指を出したタイミングにもう一人の飼育員が伸びた爪切りを行います。前肢を出すと餌がもらえることもすぐに学習し、その賢さも若い個体に負けないくらいのおばあちゃんグマです。

歩くスピードは、とてもゆっくりではありますが、マケンコのペースで一日でも長く歩み続けることができるように、精一杯サポートしていきたいと思います。

子グマ牧場に氷の城

子グマ牧場に巨大な氷柱オブジェができました。
1月末頃には昼間でも氷点下、夜の間は−10度を超える気温が続いており、その厳しい寒さが子グマ牧場を氷の城へと変貌させました。

冬の時期しか見ることのできない、極寒が生んだ天然の芸術作品を間近で是非お楽しみください!
※子グマは昨年12月にバックヤードへ移動しています。

子グマ牧場の氷柱オブジェ=2月10日

引退グマの生活

第一牧場・第二牧場を引退したクマがどのように過ごしているのか気になる方も多いのではないでしょうか。
個体によって引退の理由は様々ですが、引退後にバックヤードで飼育されているクマは大きく分けて、2つのグループに分かれています。現役続行は難しいけれど歩様に異常はない元気なクマと、足腰が衰えてきて段差や障害物がある所に展示するのは危険と判断されたクマのグループです。

バックヤード獣舎にて落葉にまみれるライサ=昨年11月

引退しても、非展示場への放飼や獣舎間の移動、浮き球などを利用した採食エンリッチメントを実施するなど、運動不足になりやすい高齢個体のケアを行っています。冬は冬眠に入るので、同居をしているクマ同士で固まって寝ていることが多いです。季節によってエンリッチメント内容を変更し、できるだけ老後の生活が豊かになるように心がけています。
引退したクマ達がより良い環境で過ごせるようにこれからも試行錯誤をしていきます。

集団で寄り添い合い冬眠する高齢グマの様子=2月8日

ハルのトレーニング記

現在、クマ山ステージの環境に慣れるトレーニングを始めているエゾヒグマの「ハル」。ステージに上がりたての頃は、ブランコやシーソーにとても警戒している様子がありました。その他にもクマのアスレチックで活躍中の先輩グマ「ショコラ」や、イベントに参加いただいたお客様の匂いが残っているためか、丸太や木箱などの匂いを嗅いでいたり、色んな所に興味津々な様子でした。

その中でもブランコは、ハルにとって初めて見る動きの物のためか、特に警戒していました。その警戒心を少しでも緩和するために、餌を置く位置を変更するなど、ストレスを感じないような工夫もしております。

現在は、順調にステージの環境に慣れ始めている様子です。未だハルのトレーニングは初期段階ですが、今後もクマのアスレチックデビューに向けての、ハルのトレーニングの様子をこちらのコーナーでお伝えしていきます。

ステージの鉄棒に興味津々のハル=1月

教えて!!Q&A

○ペンネーム 匿名希望 さま
Q なぜクマの毛はフカフカ?

A 動物の毛には4つの役割があります。「皮膚の保護」「感覚機能」「性的象徴」「体温維持」です。その中でも「体温維持」機能は冬の寒さを生き抜くために非常に重要な役割を果たします。

ヒグマの冬毛は硬い毛の隙間に綿毛のような柔らかい毛が生えています。この2層構造の毛が空気をこもらせ、熱を逃がさないようにすることで冬の北海道も平気で過ごすことができます。また、私たち人間が凍えるような寒い日も、クマたちは追いかけっこをしたり雪の上で寝たりしています。
また夏毛と冬毛では見た目が大きく変化するので是非違いをご覧いただければと思います。

雪の上で熟睡中のコタロウ=2月8日

今月の一くま