エゾヒグマ「イコロ」が亡くなりました。

2024年3月10日にのぼりべつクマ牧場のエゾヒグマ「イコロ」(オス、2歳)が死亡しました。

2024年2月28日に食欲不振と動作緩慢な様子が確認され、翌29日には体の震えも確認されたため、同日に麻酔下にて身体検査、採血、採尿および超音波検査を実施しましたが異常は確認されませんでした。その後獣舎内にて隔離飼育および投薬を行っていましたが回復は見られず、3月3日には歩様不全や嘔吐が確認されたため、治療室に入院し集中ケアを行っていました。食欲の低下はその間も継続しており、投薬も困難になっていました。

その後、3月6日に震えは少し緩和し、食欲も回復傾向にあったため、同居個体との再合流を行いました。
しかし、獣舎内にて後肢のみで起立した際に、後方へ転倒する様子が数回確認されたため、3月8日に再度治療室に入院することになりました。自力での四肢起立が難しく、食欲も廃絶状態でした。神経異常が疑われたため、X線・CT・MRI検査の実施に向け、専門機関との日程調整を行っていましたが、3月10日の明朝に死亡しているのを確認しました。

病理解剖の結果、脳に異常を認め、脳炎が疑われましたが、病態特定には、組織検査が必要のため、現在専門機関にて更なる精査を行っています。

イコロは2022年1月19日にロッキーとコロンの間に双子のノンノと共に生まれました。2022年4月18日~12月14日までは子グマ牧場にて飼育していました。胸の白斑がとても綺麗で、一見ツキノワグマに見間違えるほどでした。同世代の3頭(ノンノ・アレン・レナ)とは非常に仲が良く、オスのアレンとは毎日レスリングするなどしてバックヤードですくすくと成長していました。

まだ2歳と幼く、これからの成長を飼育員一同楽しみにしておりましたが、このような結果となり、哀惜の念に堪えません。
イコロは今後のクマたちの管理向上のためにも大変貴重で重要な知見を残してくれました。身をもって多くのことを教えてくれたイコロには本当に心から感謝しております。
今後ともクマの疾患を予防するための知見を蓄積していくとともに、今までのイコロとの思い出を懐かしみ、現在のクマたちの福祉向上に努めてまいります。