ヒグマクイズ「ヒグマの飼育員による作業内容」 (のぼりべつクマ牧場ver.)解説

Q1 朝の作業で飼育員がまず初めにする作業は何でしょう?

正解は…2.第一牧場・第二牧場・(子グマ牧場)にクマを放飼!

【解説】今の時期は9時30分からの開園に向けて、9時に出勤してゴンドラで山頂に上がり、作業着(つなぎ)に着替えて第一牧場のオスグマと第二牧場のメスグマの放飼作業を行います。子グマを展示している5月上旬~12月中旬の期間は、第一・第二牧場を出すチームと子グマを出すチームに分かれて作業します。牧場にクマを出す前には必ず、牧場内に危険なものはないか、電気柵はしっかりと張れているのか、など2人以上で安全確認をします。特に雪の多い日は、壁際に溜まった雪を乗り越えてクマが逃げることの無いようにも気を付けています。

次に、牧場内に設置してあるエンリッチメント器具「穴の開いた浮き球」に餌を入れて、クマを放飼できるように準備します。そして最後に獣舎から牧場に放飼しますが、その時にもクマが元気に動いているかなど健康チェックを行い、体が汚れていたらシャワーをかけて洗ってから放飼します。放飼後、クマたちは餌が入った浮き球を転がしたり、たたいたり、揺らしたりする様子が見られます。他のクマが浮き球を揺らして転がり出た餌を、下で待ち伏せする賢いクマもいます。共同作業なのか、もう1頭が天然なのか優しいのかわかりませんが、性格や個性が出る朝イチのクマ牧場も見所です。

バックヤードのクマを放飼するタイミングは、第一・第二・子グマ牧場のお客様がご覧いただける牧場へのクマの放飼が完了した後です。発声練習は実際には行っていませんが、クマの放飼や収容作業の際には、大きな声で合図をしながら作業することが多いため、声出しはとても重要です。


Q2 クマがいない獣舎を掃除するのに主に使用している用具はどれでしょう?

正解は…2.ホース!

【解説】獣舎の床はコンクリートで造られており、掃除は水とホースを使用します。ホースを使うことによって、効率よくきれいに水洗することができます。でも実はこのホース、少し重量があるため入社したばかりの飼育員は上手く扱えず、獣舎を水洗するたびに作業着がビチャビチャになり苦戦することが多いです。しかし、徐々に慣れてコツを掴めば、濡れずに獣舎を綺麗にすることができるようになります。
また獣舎の水洗は、必ず獣舎には確実にクマがいない状態で行います。獣舎にいた頭数と移動先の頭数が合っているか(獣舎に居た全頭が移動できたか)を声にして指差し確認します。そして、空になった獣舎を2人以上で開錠します。でもまだ安心はできません。死角のある獣舎については、1人が獣舎内にまだクマが残っていなか(隠れていないか)を獣舎の中に入って確認し、もう1人は万が一クマがいた場合にすぐ扉を閉めることができるように入口で待機します。

獣舎内の確認が終われば、作業開始。まずは前日の残った餌の量をチェックします。残餌は、+(多い)、-(残なし)、±(少し残っている)の3段階で記録し、給餌量の調整を行っています。残餌量の確認と共に、糞の状態が異常ではないかなども確認します。出血が交じった異常な便があった場合は、獣医が検査することもあります。

スコップは、冬に氷点下になると糞が凍るため、ホースで水洗しても流れない場合はスコップを使って削り取ることもあります。ほうきは獣舎では使いませんが、博物館や園内の掃除やクモの巣を取り除く時などに使用しています。


Q3 これはなんのために使用するものでしょう?

正解は…1.餌を準備するためのもの!

【解説】これは餌を準備するためのもので、複数の餌を混ぜ合わせるのに使います。クマ牧場ではコンクリートミキサーを代用しています。機械のスイッチを入れると2つの刃が回転し、素早く餌をかき混ぜることができます。「牛用配合飼料」「ビートパルプペレット」「圧ペントウモロコシ」「圧ペン大豆」の4種類の餌を前日から水でふやかしておき、ミキサーに入れて攪拌します。更にビタミン剤やドックフードを混ぜてクマに与えています。ミキサーから頭数に応じた量をとり分けて、各獣舎に餌を分配します。

餌の量は年齢・性別・体格・季節なども関係しますが、秋の成獣のオスグマは1日あたりおよそ20㎏ちかく食べます。そのような大量のクマの餌を、のべ1時間くらいかけて約70頭分用意します。餌の運搬については、調餌場から獣舎がある建物の前までクレーンで運搬し、その後各獣舎までは台車を使用しながら人力で運びます。毎日作業しているうちに筋肉や体力が付き、それに伴い体の使い方もうまくなっていきます。


Q4 のぼりべつクマ牧場で1日2回行われているイベントは次のうちどれでしょう?

正解は…1. クマの腕試し・クマのアスレチック!


【解説】クマの腕試しは、第二牧場にて毎日11時45分・14時00分からの2回に分けて開催しています。内容は、クマの生態や個体の紹介、実際に私たちも食べる身近な食べ物を使ってクマの食性についてお話しします。また、第二牧場にあるみどりの檻を使って、クマの学習能力の高さ、力の強さについてもお話します。
クマのアスレチックは、クマ山ステージにて毎日10時30分・15時00分からの2回に分けて開催しています。クマの自然な動きや行動を観察できるイベントになっており、鼻の良さやブランコに乗れるクマを、飼育員の解説つきで間近でご覧いただけます。

クマのエサやりについては、第一牧場・第二牧場であれば開園から閉園までいつでも行うことができます。お気に入りのクマを是非探し、口元めがけておやつを与えてください。子グマ牧場でのエサやりはご遠慮いただいています。理由として、健康管理の面もありますが、お客様に子グマが丸太によじ登ったり、走り回ったり、自然な一面をご覧いただきたいためでもあります。ご理解いただければと思います。

クマの入れ替えイベントは土・日・祝日限定で、第二牧場にて13時30分から開催しています。第二牧場で展示するクマを、1~3歳の幼獣のクマから成獣のクマの入れ替え作業を、飼育員の解説付きでご覧いただけます。クマの年代別の体の大きさや行動の違い、めったに見ることができない飼育員による移動作業の様子など、見所満載のイベントになっています。是非、お待ちしております。


Q5 これは何のために使うものでしょう?

正解は…2. 獣舎の鍵を確認したかをチェックするためのもの!

【解説】これは「巡回時計」と言って、全獣舎の鍵を確認(巡回)するときに使う器具です。通常の巡回は、営業終了前(飼育員)と夜間(宿直者)の2回、それぞれ2名で各獣舎の確認を行います。巡回では各獣舎が確実に施錠されているかを確認しますが、確認を行った証として巡回時計を使ってチェックしています。

巡回時計には鍵を回す穴が付いていて、その穴に各獣舎に設置している鍵を差し込み一回転すると、内蔵された記録用紙に時間と場所が印字される仕組みになっています。また、夜間に地震が発生したり警報が鳴ったりと異常を検知した場合は、宿直者2名があらためて巡回を行う場合もあります。このように、のぼりべつクマ牧場では安全管理を徹底しています。


いかがでしたか?ヒグマクイズはテーマを変えて毎月更新予定!次回もお楽しみに!

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