のぼりべつクマ牧場通信 34号(2020年4月)

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ツキノワグマ「ノビタ」展示復活なるか!

クマ山ステージに顔を出すツキノワグマの「ノビタ」=2020年3月17日


ノビタ展示チャレンジ!
3月2日から19日まで、のぼりべつクマ牧場はロープウェイの法定点検のため運休となっていました。その間に白内障から復活したノビタの展示再開に向けたチャレンジを行っていました。
 
はじめに、展示場でのエンリッチメント器具(運動や摂餌行動を促すような器具)や餌の設置方法を検討しました。ノビタは白内障の手術前には目が見えていなかったため、手術後に見えるようになってから新しいものには驚いたような反応を見せることがよくありました。展示場での条件に慣れるようにするために、ノビタが使い慣れた非展示の放飼場で、展示場の器具などを見せて試しています。放飼してみると、ノビタはいつもと違う新鮮な物ばかりで楽しかったようで、30分以上夢中で遊んでいました。
 
漁業用の浮き球に穴を開け、その中に固形飼料を入れたエンリッチメント器具は特に気にいったようです。浮き球の中の飼料をゲットしようと前肢を使って右に左にと暫く転がしていました。
 
ノビタも22才になり年をとってきたせいか、激しく遊んだあとは、スースーと寝息を立てて寝る姿も見られました。大きい寝息で担当の飼育員もびっくりしました。翌日以降も使い慣れた放飼場で展示場の器具に慣れてもらう訓練を7日間行いました。
 
次に、展示場に続く通路が難関と予想していました。通路は放飼場と比べて薄暗く、見えるようになってからは利用していませんでした。実際に通路の扉を開けてみると、予想に反してすんなりと入っていきました。さらに、その日は通路に入るのが久々だった為、通路内の匂いがとても気になるようでした。30分ほど通路内に留まったまま通路の出入り口から顔を出したり引っ込めたりしていました。
翌日以降、日を追うごとに通路内で勇気をもって進んでいく距離も伸びていきました。
 
展示チャレンジ最終日となる17日、展示場への放飼を試す日がやってきました。飼育員もドキドキして展示場に出てくるのを今か今かと待っていましたが、中々展示場に姿を見せてくれません。この日はひょっこりと顔だけ出すだけで終了しました。
皆さんに元気な姿をご覧頂けるようノビタのペースで頑張っていきたいと思います。

アヒルさんぽ

運休期間にアヒルさんたちをアヒルレース場の外に放飼してみました。今までアヒルさんたちはレース場の外には出たことがありません。アヒルさんたちは、初めての場所で警戒したり、バリケードを倒して逃亡しようとしたりとリアクションは様々でした。毎日放飼していると、慣れてきて雪で遊んでいました。
いずれは、アヒルのことをもっと知って頂くために、お散歩などのイベントをできればと考えています。
 

放飼中のアヒルたち=3月26日

博物館1階リニューアル

昭和59年に開館したヒグマ博物館は、これまでマイナーチェンジは行ってきましたが、今回36年ぶりにクマ山食堂やレクチャールームがある1階部分の全面改修工事を行いました。令和の最新施設!とはいきませんが、昭和のイメージから平成くらいには更新できたかな?あらたにキッズスペースも設けていますので、是非ゆっくりとお過ごしください。
 

リニューアル後の博物館1階=3月23日

クッタラ湖全面凍結ならず

2005年以降、冬のクッタラ湖の様子を写真撮影して記録をとっています。今年は一部を除いて結氷し、まるで大きなアイススケート場のようになりました。京都出身の新人飼育員Kは「湖が結氷するような景色は地元でお目にかかれないので貴重な経験です!」と興奮していました。さらに、雪と氷のコラボレーションで、クッタラ湖は真っ白で、綺麗な湖となりました。
 
クッタラ湖は4年に1度全面結氷しない年があるという研究結果が出ています。しかし、2019年も全面凍結せず、2020年も全面凍結していません。2年連続で結氷しなかったのは2005年以降初となります。世界規模で懸念されている地球温暖化の影響が気になるところです。
 

部分的に凍結したクッタラ湖=2月28日
今年は全面凍結には至らなかった

ペンキ塗り塗り

運休中にペンキ塗装の模様替えを行いました。模様替えをした場所は、アヒルレース場、第1牧場・第2牧場の観覧台です。ペンキ塗りの作業は飼育員が行っています。細かいところまで丁寧に塗ると予想していたより時間もかかり、大変でした。
これからも、お客さんが気持ちよくクマをご覧になれるように、ペンキ塗りも全力で丁寧に塗っていきます!

今月の飼育員のベストショット

「寄り添う二人」撮影者:猪野

のぼクマ劇場

なる作


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