のぼりべつクマ牧場通信 32号(2020年2月)

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ヒグマの器用さに驚愕 おやつアピール分析結果公開!!

おやつアピール分析結果公開=1月26日、ヒグマ博物館1階特設会場


おやつアピールとは
ヒグマは雑食性で、多様な食べ物のバリエーションをもっています。野生ヒグマも周りの環境によって臨機応変に変えることができます。サケが遡上すればサケを食べ、農作物が実れば農作物を食べ、森の木々にどんぐりが実ればそれを食べています。最近では北海道で急増しているシカも食べ物として利用し始めていると言われています。
 
ヒグマは、とにかく食べ物に関しては適応能力が高い動物です。食べ物を得るための学習能力も高く、前肢の器用さも発揮されます。ゴミ箱や冷蔵庫の扉も通常の構造になっていると、前肢を使って扉を簡単に開けてしまいます。特にその中に美味しいものが入っていると分かると、ヒグマは工夫を凝らして目的を達成してしまいます。
 
飼育されているヒグマでも、その学習能力の高さ、器用さは衰えていません。むしろ、野生よりも高くなっているのではと感じることもあります。来場者が手にしている「おやつ」を見たヒグマは、それを得るためにどのようにすればよいか考え、行動します。その結果、普段はしない行動で来場者の注目を集め、「おやつ」を獲得してしまいます。この行動を「おやつアピール」と呼んでいます。より獲得できるにはどのようにすればよいか考え、おやつアピールは時間と共に多様化し、複雑化しています。
 
のぼりべつクマ牧場で展示されているヒグマには、夕方に全頭餌を与えています。餌は季節に応じて栄養を管理され、適度に残すくらい与えていますが、それでも毎朝展示場に出て、おやつ獲得に向けた行動をみせてくれます。きっと、スポーツのような動機になっているのかと思います。「あいつには負けない」そんな想いが、多様なアピール行動を導いているのではないでしょうか。
 
分析結果
最高得点となる380点(500点満点)を獲得したのはベッキーでした。立ったままその場でグルっと一回転してしまうアピールです。第二牧場および博物館1階の特設会場では、展示個体すべてのアピールの分析結果を見ることができます。あなたの推しクマをじっくりと探してみてください。

きょうのアヒルさん

元気が良く動きも俊敏なメスのアヒル。飼育員は餌を与えてくれる人としか認識しておらず、餌の時以外に近づくと逃げていきます。レースをする前はやる気がないですが、いざスタートすると、陸上選手も顔負けの速さでゴールまで猛ダッシュします。スロースターターな所もレッドの見どころです。
顔は少し怖いですが、レースに対する情熱は誰にも負けていません。今後とも応援お願いします。
 

レッド (足環色:赤)

クマのアスレチック 毎日改善奮闘記

ヒグマのショコラがクマ山ステージ内を自由に探検する「クマのアスレチック」は、内容に日々変化をつけています。飼育員でアイデアを出し合い、色々な方法を試しました。①野生の本能を生かす ②いかに長い時間楽しんでもらえるか ③行動のバリエーションを増やす ④参加型のアスレチックができないか、などです。
 
様々なことを試行してみたところ、ショコラは丸太などが新しい配置になっても戸惑うことなくスムーズに出入りしてくれました。試行が終了し「新クマのアスレチック」の立派なお披露目のはずでしたが、お客様の前になると緊張したのか、ただウロウロとクマ山ステージ内を歩行している時間が長くなってしまいました。これではダメだ!最後の見せ場まで見て頂けない!同じ行動でもメリハリが出れば見ている方も飽きないはず。毎回、構造物の位置を少しずらし、餌を変えるなどを行いました。
毎回新鮮味が出せればと毎日新しいことにチャレンジしています。

ユーカラの里、雪景色

ユーカラの里=1月25日


北海道の雪は、本州の雪とは違いとてもフワフワしています。クマ牧場は山の上にありますが、その中でもアイヌコタンの冬は別格です。通路を除雪する以外は自然なままなので、お好きなだけ雪合戦や雪だるま作り、雪まみれになることだってできちゃいます。藁でできている「チセ」に雪が積もった姿はとても風情があります。そして何より冬のアイヌコタンは野生動物の足跡宝庫です。雪が積もった翌朝に見ると、様々な動物が楽しんだ跡が鮮明に残っています。
 
足跡を見るだけでどんな動物が来て、どんな事をしていたのか分かってしまうのです。動物の痕跡を見て毎日ニヤニヤしている飼育員もいます。是非、皆さんもクマ牧場で足跡見つけてみてくださいね。

リンゴの季節到来

雑食性のヒグマは、野草や木の実や魚など、色々なものを食べています。季節により量や内容は大きく変化します。クマ牧場の餌は、沢山いるヒグマたちに安定して与えられる配合飼料が中心です。しかし、毎日同じ餌だと飽きちゃいます。そこで旬の野菜や果物の登場です!夏から秋はニンジンを、そして今の時期はリンゴを与え、餌に変化をつけています。規格外など安価なものを大量に仕入れたり、時には「クマさんたちにあげてください」と寄贈してくださったりする野菜や果物。ヒグマたちはとても喜んで食べています。
 

リンゴを見つけ食べるツララ(7才)=1月26日

のぼクマ劇場

なる作


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