のぼりべつクマ牧場通信 22号（2019年4月）

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どうなる！？今年の第二牧場　飼育員が気になるクマを紹介

ダークホースとおばあちゃん
今年は暖冬で積雪も少なく、例年よりも早い冬明けとなりました。
のぼりべつクマ牧場のクマたちも春の暖かさを感じたようで、みんな食欲が上がり始めています。
そしてNKB総選挙(※1)に向けて、日々アピールに磨きをかけています。そんなクマたちに最近変化が見られました。ダークホースのイナホ（26）とクンチャン（25）です。
 

昨年はまだ人気者のニイサ(※2)が現役だったため、後方でお客様に視線を送ることしかできませんでした。
今冬はニイサが引退し、さらに一番前に陣取るエリカ（20）とコロン（20）が不在の日も多くありました。いつも前に出たがっていたイナホたちはここぞとばかりに最前列におどり出ました。
今ではエリカたちがいる時でも最前列にいることが増えました。このままNKBでも上位にランクインするのか注目です。
 

イナホたちとは反対に衰えを感じるようになってきたのがおばあちゃんサザエ（29）です。
いつも最前列でおやつアピールをしていましたが、最近は少し後ろの方にいることが増えてきました。他のクマと威嚇し合った時も相手に気負けすることがでてきました。個性的なアピールで常に上位にランクインしていたサザエですが、寄る年波には勝てないようです。
また長年トップを務めたニイサの引退が今年のNKB総選挙にどのような影響が出るのか楽しみです。
 
※1）NKB総選挙:毎年4月下旬から5月下旬まで、第2牧場のメスグマの人気投票を行うイベント。
※2）ニイサ:白毛で目立つためお客様に人気で、双子のニイヨと前方を陣取っていた。
 

エブリデイ！エンリッチメント

3月に降る雪は水分を多く含んでいて、固まりやすい特徴があります。そんな雪の特徴を利用して飼育員特製ジャム入りの雪玉を作りました。
ジャムはクマの好物の1つです。クマたちにあげると、飼育員の予想に反した行動を見せてくれました。丸ごと食べるかと思いきや、恐る恐る少しずつ割って中のジャムを食べるのです。
大きい体で小さな雪玉を少しずつ食べる警戒心の強い所もクマの魅力ですね。
 

釧路動物園からはるばる来ました

釧路市動物園から2018年10月にエゾリスのクシル（2歳）がのぼりべつクマ牧場にやってきました。
名前の由来はアイヌ語で釧路を指すクシルからつけました。現在はオスの先輩、セイジ（7歳）の隣の部屋で過ごしています。一緒の部屋で生活ができるように、日々同じ部屋で過ごす時間を作っています。
最近は合わせている間お互いを気にし過ぎず、並んで部屋の中を走りまわっています。
 

クマ山アイヌ講座

「イオマンテ」という言葉を聞いた事ありますか？
イオマンテとは、アイヌの人たちの大切な儀式です。狩りを生業としていたアイヌの人たちは、生活の中で深いかかわりを持つ動物をカムイ(神)として敬い、大切にしていました。動物たちはカムイモシリ（神々の世界）から、動物の装いをまとってアイヌモシリ（人間の世界）にやってきたカムイだと考えられていました。
その大切なカムイである動物の霊を送りだす儀式が「イオマンテ」です。特にヒグマの霊を送る儀式として知られています。
 
春先のヒグマ猟で、母グマと共に生まれたばかりの子グマを手に入れると、人々はカムイから養育を任せられた名誉ある事と考え、授かった子グマを大切に育てました。そして1～2年ほど飼育したのち、その魂をカムイモシリへ送り返す盛大な儀式を、集落を上げて行いました。送り出す子グマには「またたくさんの食べ物や毛皮を持って戻ってきてください」という気持ちを込めて、たくさんのお土産を持たせました。
 
のぼりべつクマ牧場でも昔、アイヌの正式な伝統儀礼に則ってイオマンテを行ったことがあります。その貴重な資料をヒグマ博物館で展示公開しています。展示をご覧になりながら、自然と共に生きたアイヌの人たちの想いを感じていただけると、カムイたちも喜んでくれると思います。
 
※参考文献「アイヌ生活文化再現マニュアル　イオマンテ　熊の霊送り」在財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構
 

LINEスタンプ　大好評販売中！

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