ボス ~令和初の頂点の座へ~(8月10日・11日・12日実施)

皆様は「ボス」と言われて何を思い浮かべますか?悪い組織の親分?某缶コーヒーの銘柄?今回はのぼりべつクマ牧場の「ボス」についてお話をしました。
 
そもそもボスとは野生のクマには使いません。のぼりべつクマ牧場で飼育しているクマに用いる表現で、オスメス合わせて70頭以上いるクマたちの頂点ともいえる存在なのです。
ボスは圧倒的に力の強いオスグマのことです。メスグマは口ゲンカをよくしますが取っ組み合いになるような大きなケンカはめったにしません。そのためメスは明確な力関係がなくボスがいません。
 
飼育員はケンカの勝敗、背こすりの回数、性格などを観察していきボスを決めます。
「背こすり」とは繁殖期にオスグマのみ背中から出てくる謎の分泌液を木や柱など、他のクマが通るような目立つ場所にこすりつける行動です。マーキング行動の一種ともいわれています。強いクマ程数多くしっかりとこすります。5~7月の繁殖期に背こすりやケンカの回数が増えてくるので、毎年その時期にボスを決めています。
 

背こすりの様子


令和初のボス争いは例年と異なり静かな幕開けとなりました。昨年ボスのダイキチとそのライバルであるマンタロウはお互い意識しつつも、マンタロウはダイキチが近づくと一歩引く様子が見られました。お互いがけん制したまま繁殖期が終わりを迎え、今までにないほど静かなボス争いは終わり、令和初のボスは昨年と同じダイキチに決まりました。
飼育員が集計していたオスグマたちの繁殖期の行動で面白いことがわかりました。ボスであるダイキチの背こすり回数は39回、マンタロウは47回と集計だけ見るとマンタロウの方が多く背こすりをしていたのです。ダイキチに臆しているように見えたマンタロウですが、どうやら背こすりだけは頑張っていたようです。来年のボス争いでダイキチとマンタロウはいったいどうなってしまうのでしょうか!今後も第一牧場のオスグマたちから目が離せません。
 

令和初のボスの座に輝いたダイキチ


さて次回のレクチャーは期待のルーキーがお話デビューをするそうですよ。どんなお話が聞けるのでしょうか、おたのしみに!