イギリスのエンリッチメント専門家と一緒にエンリッチメント!

のぼりべつクマ牧場で取り組んでいる環境エンリッチメントをより発展させていくために、イギリスの動物福祉団体『Wild Welfare』の講師をお招きし、環境エンリッチメントのワークショップを行いました。

Wild Welfareのエンリッチメント専門家 Georgina Allen氏(写真右)

ワークショップではWild Welfareの講師による講義と実習を行っています。
講義内容はWild Welfareのエンリッチメント専門家Georgina Allen氏を講師として、「世界における飼育クマの福祉」「飼育クマの行動学的飼育管理」の2タイトルの講義をして頂きました。より良い環境エンリッチメントを維持するためには、動物福祉の観点とヒグマにおける行動学の観点が必要であり、ヒグマの習性や欲求を考慮した飼育環境設計が必要であることを学びました。環境設計の際に必要となる具体的な行動や構造物(背こすり用の柱や柔らかい床材など)についても講じて頂きました。

実習ではWild Welfareの講師2名のもと、クマの獣舎で、環境エンリッチメント器具の作成から設置、クマへの提供までを行いました。
今回の器具には多様な餌を利用しています。今までのぼりべつクマ牧場では利用したことがないジャム、サバ缶やシリアルなどを用い、クマの嗅覚を刺激するものとして制汗剤スプレーも利用しました。浮き球や、消防ホース、ロープ、丸太などを電動ドリルなどで穴を開けるなど加工し、その穴に餌などを入れています。
4頭のクマが生活している獣舎に設置するため、4つ以上の環境エンリッチメント器具を設置しています。これはケンカを避ける目的があり、大変重要な観点となっています。

器具の設計から作成、取り付けまでを教わりました

 

浮き球にジャムなどを塗りつけています

クマを獣舎に戻すと、4頭とも新しい器具に興味を持ち、浮き球に抱き着く、丸太をほじくるなどの行動を見せていました。いつもは遠慮がちに餌を食べているアナ(♀、3才)も、今回の環境エンリッチメント器具には大変興奮し、激しく遊ぶ姿を見せていました。
丸太を穿る姿や、大きく興奮して遊ぶクマの姿は、飼育員にとっても喜ばしい姿であり、クマも飼育員も幸せな時間となりました。

新しい器具にクマたちは大興奮!

今後もWild Welfareから教えて頂いたこと参考にして、のぼりべつクマ牧場の環境エンリッチメントを充実させていきたいと思います!

環境エンリッチメントへの取り組み一覧はこちら